設楽清人『忍ぶな!チヨちゃん』1巻

忍ぶな! チヨちゃん 1巻 (HARTA COMIX)

忍ぶな! チヨちゃん 1巻 (HARTA COMIX)

チヨちゃんは忍びなので、すぐ忍んでしまい、好きな男の子にうまくアプローチできない……というラブコメ。どんな設定や!と思ったが、けっこう面白い。

小武『女主任・岸見栄子』1〜2巻

女主任・岸見栄子(1) (バンブーコミックス)

女主任・岸見栄子(1) (バンブーコミックス)

女主任・岸見栄子(2) (バンブーコミックス)

女主任・岸見栄子(2) (バンブーコミックス)

色仕掛け(しかもかなり過剰な奴)で商談を有利に進めようとする女主任とその上司を中心としたお色気コメディ。

ベッタベタです。

けど面白い……!

植芝理一『大蜘蛛ちゃんフラッシュ・バック』1巻

大蜘蛛ちゃんフラッシュ・バック(1) (アフタヌーンコミックス)

大蜘蛛ちゃんフラッシュ・バック(1) (アフタヌーンコミックス)

実の母親の高校生の頃をフラッシュ・バック的に見てしまうようになり、実の母親にドキドキする……という青春漫画というかフェチ漫画というか。

正直、実の母親に萌えるという感覚がゼロなので、全く作品世界に入り込めない。

謎の彼女Xは良かったんだけどなー。

早く本作を完結させて、次の作品に移ってほしい。

太陽まりい『ギャルごはん』2巻

ギャルごはん 2 (ヤングアニマルコミックス)

ギャルごはん 2 (ヤングアニマルコミックス)

素行はイマイチだが性根は良いギャルと、彼女を更生させるために(というと大げさだが)料理部を立ち上げた若手教諭を中心とした料理漫画。

ギャルが明らかに先生のことを好きになっているのだが、先生の方は、もう仕事が務まらないよねってぐらい病的に察しが悪いので、早くもマンネリ化してきた。これ勘違いしている小説家や漫画家が多いんだけど、ちょっとは察してくれないと、物語が深まらないんだよなー。

筒井大志『ぼくたちは勉強ができない』3巻

ぼくたちは勉強ができない 3 (ジャンプコミックス)

ぼくたちは勉強ができない 3 (ジャンプコミックス)

これまでは、いわゆる「別に好きなわけではないが、必要に迫られて一緒に行動しなければならない(ことで、だんだん相手の魅力に気づき始めたり、ふとした拍子にドキッとしたりする)男女モノ」と「ハーレムラブコメ」の掛け合わせだったわけだが、女の子たちが急に主人公好き好きオーラを大量放出し始めて、なんかもう「女の子たちの好意が傍から見たらバレバレ状態」になってきた。しかし、不自然なほどに察しの悪い男子というテンプレ展開。なんかあんまり面白くなくなってきた。

永椎晃平『星野、目をつぶって』8巻

星野、目をつぶって。(8) (週刊少年マガジンコミックス)

星野、目をつぶって。(8) (週刊少年マガジンコミックス)

以降、微妙にネタバレします。

あれ、もう引っ付いちゃったか。早いな。

しかし何だ、はっきり言って、どう考えてもヒロインは幼馴染のギャルの方だろう。あそこまで本気で主人公にぶつかっていった幼馴染の気持ちを踏みにじって、こそこそ逃げ出して、しかも幼馴染をキープしたままこっそり主人公とヒロインが付き合うというのは、どうにも解せない。

断言する。恋愛漫画の主人公はある程度は馬鹿で鈍感でも良い。むしろある程度鈍感なぐらいの方が気持ちがすれ違い、物語は盛り上がる。しかしここぞという場面で他人の気持ちを裏切ってはならないのです。

加納梨衣『スローモーションをもう一度』5巻

スローモーションをもう一度(5) (ビッグコミックス)

スローモーションをもう一度(5) (ビッグコミックス)

80年代アイドルが好きというマイナーな趣味を持つ高校生男女による超正統派ラブストーリー。

男の方はリア充でアイドル趣味を隠しており、女の方は地味で友達もほとんどいないからアイドル趣味を知られていないという、いわば身分格差があるんだが(スクールカーストの力は物凄いからね)、もう「共通の趣味の持ち主」ということを超えてお互いのことが気になっている。しかしながらヒロインの方は家庭に複雑な事情があるようで、どうにもすれ違ってしまって……という感じ。読んでいて息苦しいなあ。つまり最高。

長田悠幸+町田一八『シオリエクスペリエンス ジミなわたしとヘンなおじさん』9巻

SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん 9巻 (デジタル版ビッグガンガンコミックス)

SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん 9巻 (デジタル版ビッグガンガンコミックス)

地味なだけの高校教師(女)が、「27歳までに伝説を残さなければ死んでしまう」という呪いというか契約というかを結んでしまい、はみ出しものの教え子たちと「伝説」を作るためのバンドを組む……というアウトラインの漫画。都合良く「伝説」なんて作れないよねという現実味と、それでもその瞬間ではけっこう周囲の人たちの時間を奪っちゃったりして、その何とも言えない描写が凄く刺さる。

しかし9巻は、既に吹奏楽のトランペットのエースである女の子を引き抜こうとしており、これは正直どうかと思った。人にはそれぞれ色んな戦い方がある。相手の土俵を突き崩して自分の利得を得るというのも、戦い方のひとつではある。しかし仮にも教師なら、相手を尊重してナンボではないか。自分のバンドに入れたら良いかもなーというだけの理由で吹奏楽という団体競技を危機に陥れようというアプローチには全く共感できず、一気にテンションが下がってしまった。確かに、吹奏楽部のエースを引き抜いたらバンドとしては良い音が作れるかもしれない。しかし残された吹奏楽部員と先生はどうなるのか。

自立しろ? 演奏の醍醐味はハーモニーなのに、今さら最も重要なソロパートのピースをむしり取られた吹奏楽部の皆はそんなこと言ってられないよね。

ロッカーとはエゴな奴らである? しかしエゴというのは自分の思いを突き通すことであり、他人を陥れて不幸にすることではない。

まあ要するに、わたしは吹奏楽部のエースの戦い方も好きだし、顧問の戦い方も好きなのだ。繰り返す。人にはそれぞれ色んな戦い方がある。

うーん、10巻はどうしようかなあ。

志村貴子『淡島百景』2巻

淡島百景 2

淡島百景 2

歌劇学校という独特な女子校を描いた群像劇。

何とも言えない叙情があるのだが、時系列がシャッフルされており、細かいところはよくわからないところがある。

incubator.hatenablog.com

栗山ミヅキ『保安官エヴァンスの嘘』1〜2巻

保安官エヴァンスの嘘(1) (少年サンデーコミックス)

保安官エヴァンスの嘘(1) (少年サンデーコミックス)

保安官エヴァンスの嘘(2) (少年サンデーコミックス)

保安官エヴァンスの嘘(2) (少年サンデーコミックス)

保安官として一流の実績を残し、他人からもストイックな男だと見られているエヴァンス。しかし実際のところはスケコマシの父に薫陶を受け、ただただモテるために保安官になったのである……が、今のところ年齢イコール彼女いない歴である。何とも言えないズレというかギャップを楽しむ漫画である。

画力はまだまだだが、話は面白くて好き。

とり・みき『ロボ道楽の逆襲』『メカ豆腐の復讐』

ロボ道楽の逆襲 (CUE COMICS)

ロボ道楽の逆襲 (CUE COMICS)

メカ豆腐の復讐 (CUE COMICS)

メカ豆腐の復讐 (CUE COMICS)

とり・みきの作品集。

正直、難しい。。。

とり・みき『DAI-HONYA』『THE LAST BOOKMAN』

DAI-HONYA ダイホンヤ (早川書房)

DAI-HONYA ダイホンヤ (早川書房)

THE LAST BOOKMAN ラスト・ブックマン (早川書房)

THE LAST BOOKMAN ラスト・ブックマン (早川書房)

コンピュータの発達や森林資源不足により、活字文化が衰退しつつある近未来、書店を守る書店法が成立する。一方、街の本屋さんなどというものはなくなって巨大資本による書店の超大型化が促進(このあたり現実がフィクションの後を追っている感じがする)。巨大資本への忌避や活字文化の衰退から、本そのものに嫌悪感を覚える人も増え、紙の本を読むなどという趣味はすっかりアングラ化し、書店でのテロも横行……そんな近未来が舞台なんだが、それより何よりとり・みきの場合はガチのSFファンじゃないと出典のわからないようなマニアックなギャグが頻繁に出てきており、わたし程度では正直よく理解できない。

Kindle化されていたので久々に読んでみたが、やっぱり難しいなー。

桜井画門『亜人』9〜11巻

亜人(9) (アフタヌーンコミックス)

亜人(9) (アフタヌーンコミックス)

亜人(10) (アフタヌーンコミックス)

亜人(10) (アフタヌーンコミックス)

亜人(11) (アフタヌーンコミックス)

亜人(11) (アフタヌーンコミックス)

佐藤との戦いは苛烈で、しかも「ほとんど不死(死んだら復活する)」という亜人の特性を活かした戦い方の発想が、佐藤は鬼畜級に凄い。このレベルだと普通の人では太刀打ちできんよねと思わせられる。物語はさらに色々と動いてきたから、そろそろクライマックスかな。12巻完結はないだろうけど、13巻か14巻ぐらいで終わるんじゃないか。

雨瀬シオリ『ここは今から倫理です。』1巻

ここは今から倫理です。 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

ここは今から倫理です。 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

本書を読みながらぼやーっと昔のことを考えていたのだが、生徒が今の自分だけの力で何ともできないような事態、すなわち「悩み」が仮に発生した時、どんな先生だと助けてほしいと思う、もしくは助けになるのだろうか? もちろん不真面目・不誠実なタイプは論外なのだが、熱血タイプや道徳タイプでもないように思う。少なくともわたしは、正論や建前論で何とかなるような悩みなら、真に他人に相談しようなどとは思わない。

これは大人になっても同じである。もちろんこれは人によって差はあるのだが、正論や建前論、すなわちロジックで何とかなるものは大した悩みではない。やれば良い、以上、となるわけであるから、相談の意味はない。少なくともわたしはこの手の問題について誰かに相談はしない。

しかしロジックで何とかなることはわかっているのだが、そのアクションを取れない事情がある場合がある。あるいは、ロジックでは何ともならないことがある。例えば以下のようなケースが該当する。

  • 人が人を嫌うとか、人が人をいじめるという場合。そこに合理的なロジックで憎悪やいじめが発生したのかというと、それは違うような気もする。取るに足らないような出来事の積み重ねや、単なる第一印象や、下手したら空気みたいなもので無視やいじめは発生する。他にも、思春期特有の何とも言えない焦燥感。これに対して大人が「今だけだよ」「君のその焦りはありきたりでちっぽけなものだよ」「嫌われないように振る舞えば良いんだよ、原因がなくなればいじめもなくなる」と言って解決するとは到底思えない。
  • 仕事がつまらないという場合。仕事がつまらないなら、自分から動いて面白くするか、面白い仕事に転職ないし異動するか、今の仕事を面白いと思い込むか、今の面白くない仕事を受け入れて妥協するかしか、論理的には方策はないわけである。しかし、そのロジックを突き付けて悩める社会人の葛藤が綺麗になくなるとは到底思えない。

すなわち、真に他人に相談したくなるような、一筋縄で行かない問題の場合、相談する側は心のもやもやを吐き出したいのだが、かといって受け取った側はそう簡単にアドバイスを送ることができないという問題が発生する。ロジックでは決められないのだが、ポジションを取るしかないという性質のものがある。どうしようもないんだけど、吐き出すしかない性質のものがある。

わたしは、真の悩み相談は、多くが2種類に大別されるのではないかと思っている。ひとつは、専門的な知識が不足しているがゆえの相談。本人は見えていないのだが、その道のプロからすると解決策が明白なことも多い。例えば、資産運用。例えば、汚部屋。

もうひとつは、相談という名の愚痴である。ロジックや知識で解決できるものではなく、結局のところ、自分で考え抜いて、リスクテイクして決断するしかない種類のものである。しかしながら、この決断そのものをアウトソースする機能もなくはない。それが「占い」であり、「宗教」である。人生の決断を他人の決断力や神秘性に委ねるのだ。わたしはそれをすることはしないが、人生に対するスタンスは人それぞれであるから、特段それを否定するつもりもない。

閑話休題。本作に戻ろう。主人公は、熱血タイプでも道徳を説くタイプでもない、けど不真面目・不誠実でもない、どちらかと言えば淡々と役割をこなしているように見える倫理教師。そして本作の舞台となる高校では、倫理は選択科目である。積極的に倫理を選択した人は少なく、多くは人気科目の選択に漏れた等の「成り行き」である。しかし人生を深く考えるという目的において、倫理は時として強い力を持つ。そして生徒が少しずつ救われていくのである。いや、自分自身で自分を救うための武器を手に入れるという方が正確かもしれない。倫理そのものは人を救わない。自分が自分自身を救うのだ。

余談

わたしは、ベタだが、アドラー心理学を読んで少し達観したような気がする。悩みとは結局、自分の問題であり、人間関係の問題である。ぜひ読んでほしい。
incubator.hatenablog.com
incubator.hatenablog.com