重松清『さつき断景』

さつき断景 (祥伝社文庫)

さつき断景 (祥伝社文庫)

阪神大震災のボランティアに参加した高校生タカユキ、電車1本の差でサリン禍を免れた35歳のヤマグチさん、長女が嫁ぐ57歳アサダ氏――1995年から2000年の、3人の「5月1日」を定点観測した日録(クロニクル)小説、とのこと。
1995年から2000年までの事件や流行が週刊誌やテレビ・会話などを通して執拗に出てくるのだが、それが読み始めた当初はしっくり来ず、何だかアイデア先行の作品という印象を拭えなかった。しかし、登場人物の歴史が積み重なってくるにつれて、だんだんと先が気になってきた。なかなか面白い試みだったように思う。