和田章嗣『こうすれば病院は変わる!』

病院を「サービス業」と割り切り、どうすればより良いサービスを顧客(患者)に提供できるのかを解説している。読みやすいが、ドキッとするようなことも書いてあり、興味のある人にはなかなか興味深い本。病院改革は一筋縄では行かないなあ。
ところで、読んでいてグッと来た記述があった。

ミスは誰にでもあります。ある研修医が採決を担当していたところ、10人目の患者に「どこに針を刺してんだ、痛いじゃないか、ばか野郎」といわれて、その前の黙って採決を受けていた9人の患者のことを思い出して、泣き出しました。
重い医療ミスもありますが、患者から医師は絶えず学んでいます。それを忘れては、医師免許返上です。「失敗から学ぶ」は、病院にもっとも必要なことです。

これは「事故防止マニュアル」作成の重要性について述べた箇所であったが、もう1つ「想像力」の重要性を示唆した文章でもあると思う。いつでもどこでも医師にワンワン大泣きされるようでは患者も困ってしまうが、対人間の仕事である限り、想像力は必須なのだと再認識した。ここで泣ける研修医は、きっと名医になるような気がする。