伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』

オーデュボンの祈り (新潮ミステリー倶楽部)

オーデュボンの祈り (新潮ミステリー倶楽部)

レールに乗り、ミスしないように生きてきた主人公。ふとそこから外れてみたくなり、幼稚なコンビニ強盗を試みるも失敗。強盗未遂で逮捕されかけるが、結局は「荻島」という外部との交流のない島に流れ着く。荻島は色々と不思議な島で、何と「優午」という喋るカカシが存在し、しかも優午は未来を見通すという。主人公は明らかに戸惑うも、じき置かれた状況に慣れ始める。しかし優午は殺害(?)される――というプロローグ。
グーグルで検索したところ、著者は一応ミステリー作家のようだ。本書も新潮ミステリー倶楽部賞を受賞している。しかし被害者は「喋るカカシ」である。決してつまらないという訳ではないのだが、キャラクターもシチュエーションもストーリーも突飛すぎて、何とも微妙な読後感。ミステリー好きには面白い仕掛けが多く配置されているのかもしれないが、ミステリーに疎い俺には「視点の置きどころ」がよくわからない、というのが正直なところ。雰囲気を味わえば良いのかなあ。
デビュー作とのことだが、文章の拙さが気になることはほとんどないし、世間的にも注目されている作家のようなので、もう少し他の著作も読んでみたい。