『機動警察パトレイバー アーリーデイズ VOLUME 1.』

ゆうきまさみ機動警察パトレイバー』が原作で、映像やゲームに展開している……と思っていたけれど、実態は俺の当初の理解とは異なっており、ゆうきまさみ出渕裕高田明美伊藤和典押井守による「ヘッドギア」というプロジェクトグループが原作とのこと。どうやら『機動警察パトレイバー』は、80年代から90年代前半にかけて展開されたかなり確信犯的なメディアミックスプロジェクトだったらしい。
ゆうきまさみによる漫画版が結果的には先行しているものの、映像だけでも、初期OVAシリーズ→劇場版1『機動警察パトレイバー the Movie』→TVシリーズ→新OVAシリーズ→劇場版2『機動警察パトレイバー 2 the Movie』と続き、かなり時間を経て2002年には劇場版3『WXIII PATLABOR THE MOVIE3』と同時上映の『ミニパト』も公開されている。さらには小説版・ゲーム版・テレホンサービス(電話をしたら聞けた模様)なども数多く作られるなど、非常に広範なメディアミックスプロジェクトだったことがわかる。今でこそメディアミックスは常識だけれど、80年代にこれだけのメディアミックスプロジェクトを構想・実現できたことは、かなりの驚きである。
本作は、ロボット技術を応用した歩行式の作業機械「レイバー」が実用化された10年後の近未来が舞台……なのだが、80年代から見た「近未来」であり、実際は既に本作の西暦を追い抜いてしまっている。設定についてはオープニングのナレーションがわかりやすいので、引用しておきたい。

ハイパーテクノロジーの急速な発展と共に、あらゆる分野に進出した汎用人間型作業機械「レイバー」。しかし、それはレイバー犯罪と呼ばれる新たな社会的脅威をも生み出すことになった。警視庁は続発するレイバー犯罪に対抗すべく、本庁警備部内に特殊車輌二課を設立し、これに対抗した。通称「特車二課」、パトロール・レイバー中隊――「パトレイバー」の誕生である。

要は、この特車二課の第2小隊に配属された隊員(警官)たちを主人公とした、青春あり、笑いあり、涙あり、陰謀あり、ロボットあり……な、盛り沢山でお腹いっぱいの濃密なアニメーションなのである。漫画版を読んだとき「面白いけれど、何かが足りない……」とムズムズしたのを記憶しているが、それはアニメーションと声だった。非常に面白い。