『機動警察パトレイバー アーリーデイズ VOLUME 2.』

ヘッドギアというプロジェクトグループ(ゆうきまさみ出渕裕高田明美伊藤和典押井守)によって80年代から90年代前半にかけて展開された、巨大かつ確信犯的なメディアミックスプロジェクト。ゆうきまさみによる漫画版が結果的には先行しているものの、映像だけでも、初期OVAシリーズ→劇場版1『機動警察パトレイバー the Movie』→TVシリーズ→新OVAシリーズ→劇場版2『機動警察パトレイバー 2 the Movie』と続き、かなり時間を経て2002年には劇場版3『WXIII PATLABOR THE MOVIE3』と同時上映の『ミニパト』も公開されている。さらには小説版・ゲーム版・テレホンサービス(電話をしたら聞けた模様)なども数多く作られるなど、非常に広範かつ時代先取的なメディアミックスプロジェクトだったことがわかる。
機動警察パトレイバー』シリーズは、ロボット技術を応用した歩行式の作業機械「レイバー」が実用化された10年後の近未来(実際は80年代から見た「近未来」なので2006年よりも以前)を舞台とする、青春あり、涙あり、笑いあり、陰謀あり、ロボットあり……な、お腹いっぱいアニメーションなのだが、設定についてはオープニングのナレーションがわかりやすいので、引用。

ハイパーテクノロジーの急速な発展と共に、あらゆる分野に進出した汎用人間型作業機械「レイバー」。しかし、それはレイバー犯罪と呼ばれる新たな社会的脅威をも生み出すことになった。警視庁は続発するレイバー犯罪に対抗すべく、本庁警備部内に特殊車輌二課を設立し、これに対抗した。通称「特車二課」、パトロール・レイバー中隊――「パトレイバー」の誕生である。

(他の映像シリーズや漫画版は前に観たことがあるものの)この初期OVAシリーズは今回初めて見たけれど、他シリーズでは冷めた印象の強い篠原遊馬が結構チャランポランなのと、進士さんが意外に不真面目っぽいところがあるのは、なかなかキャラクター設定としては新鮮だった。初期はこういうキャラクターだったのか〜。
後藤隊長の元同志(?)の甲斐が反乱を起こして日本を制圧しようとする5話&6話「二課の一番長い日」は、なかなか緊張感もあって面白かった。アニメーションを用いて、東京(日本)に戦争状態・紛争状態を作り出す――という思考実験というかシミュレーションは、押井守のテーマなのかな。アニメーションにそれほど詳しいわけではないが、他の押井守の作品でも、この種のプロットは多い気がする。