細野不二彦による傑作美術漫画。主人公の
藤田玲司(フジタ)は、かつてはニューヨークの
メトロポリタン美術館 (MET) の敏腕キュレーターで、卓越した修復技術や豊富な知識から「プロフェッサー(教授)」と称えられるほどの尊敬を集めていたが、元同僚の陰謀によりメトロポリタンを追われ、帰国。現在は、表向きは贋作やレプリカといったニセモノを専門に扱う「
ギャラリーフェイク」という画廊(アート・ギャラリー)の経営者だが、裏ではブラックマーケットに通じ、盗品や美術館の横流し品を法外な値で売る
悪徳画商という噂であり、その噂は完全に真実である。しかし一方で、メトロポリタン時代から一貫して美に対する真摯な思いを持ち続け、美の
奉仕者としての面も持つ――という設定。Q
首長国(
クウェートがモデルの模様)の王族の娘であるヒロインのサラ・ハリファや「美術界の
ジャンヌ・ダルク」と呼ばれる三田村館長など、脇役も非常に魅力的である。
この巻には以下のエピソードが収録されている。
ART.1 ルナティック・ルナシー
ART.2 堕天使の聖夜
ART.3 ペン先の値段
ART.4 東方の三国志
東方の三国志(後編)
ART.5 トンパ・ミステリー
トンパ・ミステリー(中編)
トンパ・ミステリー(後編)
ART.6 キャラ立ちぬ
表題作「トンパ・ミステリー」は、怖いねえ。女の怨念かくあるべし、だろうか。