奥山清行『フェラーリと鉄瓶』

著者はフェラーリの55周年モデルであるエンツォ・フェラーリマセラティクアトロポルテなど、数々の自動車のデザインを手がけた、一流のカーデザイナーである。ポルシェ、GMピニンファリーナフェラーリのデザインを手がける会社)のデザインディレクターなどを経て、2006年9月に独立したとのことで、近年は自動車に限らず、ロボットや急須・暖炉・テーマパークなどのデザインも手がけている。俺でも知っているくらいの人だから、インダストリアルデザインの世界で最も注目されているデザイナーの1人かもしれない。
もう少し工業デザイン寄りの本かと思って買ったが、著者の初めての著作とのことで、著者の半生や価値観に多くのページが割かれるなど、わりに気軽に読めるエッセイである。アメリカ・イタリア・ドイツなど世界各国で働いていることもあり、日本を愛しつつも、日本的な閉塞感を嫌悪している。