黒木亮『エネルギー(上)』

エネルギー(上)

エネルギー(上)

エネルギービジネスがテーマ。実際の事件または実際の事件をモチーフにしたエピソードにより構成されている。Amazonに載っていた紹介文を引用。

サハリンの巨大ガス田開発、イランの「日の丸」油田をめぐる暗闘、シンガポールの石油デリバティブ巨額損失事件――世界中の視線を集める資源開発の現場に切り込み、綿密な取材をもとに構成した野心作。

黒木亮の著作は(おそらく)全て読んでいるが、とにかく綿密に取材されているし、実在の事件でなくとも投資銀行や総合商社での経験が生きており、とにかく描写にリアリティがある。この人の強みは文章力ではなく、ビジネスマンとしての極めて豊富な経験と、その経験が下支えした実際の事件に対するディティールである。それはもう、正直に言って他の書き手とは圧倒的なレベル差だ。ビジネス小説や経済小説と言われる分野で最も面白い本を書く人物なので、仮に、この分野が好きなのに黒木亮は未読だという方がもしいるならば、一日も早く読んでみることを強く推奨する。