山本直樹『レッド』1巻

レッド(1) (KCデラックス イブニング )

レッド(1) (KCデラックス イブニング )

稀代のエロ漫画家による非エロ作品。帯には「革命を目指す若者達の青春群像劇」と書かれており、全共闘運動の代表的な事件を基に話を組み立てている。あまり余計なことは書かず、まさに事件モノのノンフィクションを読んでいるような淡々とした描写が続く。
しかし同時に、山本直樹らしいトリッキーな仕掛けも施されていて、それがなかなかの効果を発揮している。例えば、登場人物が出てくる度に「逮捕まで何日、死刑確定まで何日」とか、「射殺まで何日」という解説が出てくるのだが、これが何とも形容しがたい不気味さというか非日常性を読み手に呼び起こす。また登場人物の中には、頭に「数字」が付いている登場人物がいるのだが、それはこの運動で命を落とす登場人物と、命を落とす順番になるようだ。
なお山本直樹には『BLUE』という代表作があり、どうしても青と赤の対比を意識してしまうのだが、2つの作品の関連性はよくわからない。『BLUE』の方も青春と言えば青春だけれど、『BLUE』はエロ、『レッド』は非エロだからな。