山本英夫『おカマ白書』1〜3巻

おカマ白書〔文庫版〕1 (小学館文庫 やC 17)  おカマ白書〔文庫版〕2 (小学館文庫 やC 18)  おカマ白書〔文庫版〕3 (小学館文庫 やC 19)
この作品は、性的マイノリティを笑いの種にしたということで物議を醸し、一時は絶版になるのだが、色々あって和解したらしく、全5巻の愛蔵版で復活する。俺は愛蔵版バージョンを持っていたのだが、どこかに散逸したまま愛蔵版も絶版になった模様。読みたいなあと思っていたところ、何と(いつの間にか)文庫版で復活していた。小学館やるねえ……ということで、文庫版を読了。
女装した鏡の中の自分に惚れるという設定が、現代人の肥大した自意識に対する批評精神満載なんだろうけど、そんなこと全く気にしなくとも十分に面白い。山本英夫という人は、世の中のアブノーマル(と呼ばれている人々)をエンタメに調理すると、本当に絶妙だね。もっとも、アブノーマル・異常を追求しすぎて『ホムンクルス』のラストはイマイチな感じになっていた。この人の場合、『新・のぞき屋』や『おカマ白書』くらいの重さ(軽さ)でコンスタントに作品を発表してほしい。