- 作者: 吉野太郎
- 出版社/メーカー: 中央経済社
- 発売日: 2012/02
- メディア: 単行本
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まず、個別リスクに深入りし過ぎず、あくまでもERMについて論じていること。
次に、COSO ERMの位置づけがイメージしやすかったこと。
最後に、企業内での実践の足がかりとなりそうな具体的な記述だと感じたこと。
最後の「実践の足がかり」というのは我ながら言い得て妙で、これらの本を読んだだけで企業の統合リスク管理が実践できるようになるわけではないし、そんなことを期待もしていない。ただし解説と実践の場が乖離していると、どうもピンと来ないのも事実なのである。例えば『ケースで学ぶERM(エンタプライズ・リスクマネジメント)の実践』という本は事例をふんだんに載せるというアプローチだったが、リスクの定義や分類や規程を何社分も横目に睨んだところで、ERMが実践できるほど話は単純じゃない。もちろん事例を準備することの意義は俺も積極的に認めるけどね。また逆に、概念論だけを並べられても「じゃあどうするの?」が解決しない。この手の本は読者のレベルも様々だし、内容自体が難しいこともあって、お勉強以上に「役立つ」本がなかなか見当たらない。