
- 作者: ゲイル・キャリガー,sime,Gail Carriger,川野靖子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/04/08
- メディア: 文庫
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ゲイル・キャリガーはスチームパンクと言うSFのサブジャンルを好んで書く作家のようなのだが、スチームパンクとは簡単に言うと、蒸気機関が広く使われていた時代を舞台にSF風味をプラスして作品世界を構築するジャンルである。SF風味と言っても、Wikipediaによると、当時の人々が考えていたようなレトロフューチャーなアイテムや、ちょっと突拍子もないような時代錯誤テクノロジーが織り込まれる傾向があるらしい。必然、レトロな感じと先鋭的な感じが混ざり合った独特の世界観になり、また作品のアプローチによっては歴史改変物として捉えることもできる。ちょっと違うかもしれないが、私は『天空の城ラピュタ』も広い意味ではスチームパンクじゃないかと思っている。
さて、本書は19世紀のヴィクトリア朝イギリスを舞台としており、「異界族」と呼ばれる吸血鬼・人狼・幽霊がしこたま登場する。ハリウッド文化を生み出したアメリカ人の作家らしい、とってつけたようなラブロマンスが登場するが、それを除けばけっこう面白い。
なお、今後このシリーズは以下のように続刊している。