アプリを使ったメモ術だの思考法だの情報管理法だのライフハックだのというのは、あまり積極的に読みたいと思う本ではない。正直あまりピンと来たことがなかったし、ピンと来たものもすぐ使わなくなった。ただし今回は、『アトミックシンキング』という本を読んでなかなか良いなと思ったため、関連書籍として本書も読んでみた次第。
特段の期待もせず読み進めていたのだが、前半の「ボトムアップ分類」という考え方は意外に面白いぞと思った。
当然ながら、分類というのは通常トップダウンの概念だと思う。より広い概念から作り、また管理していく概念だ。
- 料理
- イタリアン
- パスタ
- トマトソース
- アラビアータ
- トマト缶
- 唐辛子
- にんにく
- ベーコン
しかし日常生活や仕事を振り返ると、実は「ボトムアップ分類」もあると著者は言う。冷蔵庫の中にあるものを見繕って、トマト缶と唐辛子とにんにくとベーコンを見つけ、アラビアータを作ろうと思い立つ。あるいはトマトスープを作る。
- トマト缶
- 唐辛子
- にんにく
- ベーコン
- アラビアータ
- トマトソース
- パスタ
- ・・・
トップダウン分類でモノを考えると、当然ながら枠が決まっているため、その枠を超えて発想することはできない。新たな発想で新たな答えを導出する際にはボトムアップ分類を無自覚的に活用しているという話は、なるほどと思った。
その他は「まあまあ」って感じ。メモ自体を「リンク」でつなげるという発想は、理論的・理想的にはよくわかる。しかしこの手の著者は大抵ツールオタクなので、色んなツールを拾い食いしている。そういう人を見ると、わたしはどうしても、ふたつのことを思ってしまう。
弘法筆を選ばず……これは言うまでもないだろう。
もうひとつは「他のツールとの平仄」だ。例えばWorkflowyというアウトライナーがあり、アウトライナーのフリークな方は、アウトライナーに全ての情報を入れるのが良いという話をする。しかしながら大半のツールオタクは、Workflowyも使い、Obsidianも使い、Evernoteも使い、一部はDropboxに入れて、また新しいツールが出たらヨダレを流しながら試すのである……正直、アウトライナーとObsidianをどう使い分けるとかとか、ほとんどイメージが湧かないんだよな。