ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミア ILLEGALS- 1 ヴィジランテ―僕のヒーローアカデミアILLEGALS― (ジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者: 古橋秀之,別天荒人,堀越耕平
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2017/05/02
- メディア: Kindle版
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スピンオフというのは大抵、4コマ漫画や、登場人物だけを使った学園モノ、要は「毒にも薬にもならない」作品が多かった。しかし本作は違う。原作の世界観を完全に踏まえつつ、オリジナルキャラクターを使ってオリジナルストーリーを展開している。しかも絵柄は堀越耕平本人が書いたかと見紛うほどに似せている。ストーリーも作画も驚くほどにプロである。
しかも設定が良い。原作は、「無個性」のためにヒーローになることを諦めていた主人公が、泣く子も黙るトップヒーローに個性を譲ってもらい、ヒーローの資格試験を受け、トップヒーローにならんとする物語だ。これ、確かに面白いんだが、逆に言うと「強力な個性がなければ人を助けないの?」「資格がなければ人を助けないのか?」という疑問がある。しかし本作は、しょぼい個性だけどそれを活かして趣味として人助けをしてきた主人公が、無個性のまま「ただの頑丈なおっさん」として世直しをしちゃっているおっさんが出会い、(彼に惹かれてというか無理やり付き合わされる形で)しょぼい個性のまま巨悪と戦っていく……というストーリーになりそうだ。しかも二人ともヒーロー資格を持っていない。この世界観では、ヒーロー資格を持っていない者がヒーロー活動をしてはならないことになっている。しかし本来これも、善意の人助けに資格など要るのかという話であり、原作の矛盾というか突っ込まれると弱いところを、とことん補っている。相当練り込まれており、プロの所業というほかはない。
2巻も本当に楽しみ。