- 作者: 森薫
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/02/15
- メディア: コミック
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この手の「緻密さ」や「書き込みの多さ」を売りにする漫画家は、遅かれ早かれ成り立たなくなっていく。10人ぐらいは簡単に例を挙げられるが、差し当たり三浦建太郎と萩原一至の名前を出すだけで十分であろう。体力が追いつかないからなのか、集中力が追いつかないからなのか、金と名声を得てモチベーションを失ってしまうからなのか、漫画家ではないわたしにはよくわからない。しかしこれは避けがたい真実であるように思える。
そのような中、森薫は(もちろん「今のところ」ということになるが)例外と言ってもいい。「好きなものをしっかり描き込んで何が悪い!」という感じが未だにあり、消耗を感じないのである。それでいて刊行ペースはそれなり。書き込みの量を考えると圧倒的スピードと言えるだろう。この巻も相変わらず凄い。国レベルや時代レベルの骨太の展開と、ミニマムな恋愛話や成長譚を、それこそ縦糸と横糸のようにバランス良く織り込んで描写している。
余談めくが、巻末の「あとがき」も相変わらず面白い。