ヤマシタトモコ『さんかく窓の外側は夜』10巻

自分の霊的な存在を触られてビクッとなる感覚と性的快感を意図的に混同して描写するという、非常にテクニカルなBL漫画。BL漫画というよりはミステリ・ホラージャンルと整理した方が適切かも。

補足すると、BL漫画と書いてしまったがBL成分は元々薄めな上、途中からはその手の描写が控えめになり、最終10巻は、人と人がどう関係性を構築するか、そして過去と向き合い乗り越えるか、みたいな話になって、BL的な要素はほぼなくなった。大きな風呂敷をしっかり畳んだなーと思ったり。

ヤマシタトモコの中では地味な作品なのだなと勝手に思っていたが、よくよく考えると今のところ彼女の作品の中で最も長編だし、実写映画化もされたし、今後テレビアニメ化されるそうだし、さらにWikipediaによれば体感型ゲームも作られたようだ。かなりのメディアミックスである。