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黒田硫黄というサブカル寄りの漫画家がいて、2000年前後は「知る人ぞ知る」という感じで漫画好きにはけっこう知られていたのだが、その作者が『茄子』という茄子をモチーフとした連作集を描いていて、その中のシリーズが映画化されたという経緯。
少しだけオタクっぽいことを書くと、黒田硫黄は筆を使ってササッと漫画を描くようなスタイルで、決してGペンの線の1本ずつに魂を込めるようなタイプではない。しかし映画ファンらしいというか、コマ割りや構図が独特なんだよね。そしてササッと描いた絵柄に、妙なざらつきがあった。何というか、黒田硫黄じゃないと描けない漫画というのがあったように思う。
それが小奇麗なアニメになっちゃって、ああ話は面白いけど絵柄の魅力は失われたな……と公開当時は思ったものだが、いざ見ると、レースシーンはかなり圧巻。黒田硫黄の筆致のざらつきをアニメ的に解釈して昇華させたような感じ。ストーリーが地味なので一般受けはしないと思うが、すごく面白い作品になっていると思う。