『スローイング・ダウン ファスト ファッション』@Prime Video

ファストファッションは悪! 合成繊維は悪! な価値観でのドキュメンタリー映画。

メーカーやブランドが、より速くより安くを追求し、年ごとのトレンドを四半期ごと、月ごと、そして週ごとに高速化した結果、購買者は欲望を過剰に刺激され、我先にとゴミのような服を大量に買い、大量に廃棄されていると。

わからんでもないが、正直すっきりしないところもある。それはメーカーやブランドの責任なのだろうか? ファストファッションはメーカーやブランドの問題ではなく、造り手と買い手の共犯関係だと思う。本作では、そのことがミエミエなのに、メーカーがどうの、繊維がどうの、という話で前半が終わってしまったので、後半は正直、家事をしながらチラ見して終わってしまった。

もうひとつ、本作の語り手が言っていた、ファストファッションではなく、良い服を長く着る方が結果的に良いのだ、それは昔から続いてきた伝統なのだ、という発想も気になる。昔の人は、良い服の価値を理解して良い服を買い、長く着ていたのではない。因果が逆で、ひとつひとつの服が非常に高価だったから、長く着るために徹底的にお直しをしながら着続けた、そしてそのために丈夫な服を買っただろう、というだけである。