海堂尊『ナイチンゲールの沈黙』

ナイチンゲールの沈黙

ナイチンゲールの沈黙

現役医師にして『チーム・バチスタの栄光』の著者による第二作。
チーム・バチスタの栄光』は、第4回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作ではあったものの、ミステリーというよりは社会派小説といった趣だった。本書もデビュー作の基本路線は踏襲しているが、どうにも切れ味が鈍い。途中ですぐ犯人はわかるが、トリック(というほどでもないが)は明かされない――という形式なのだが、何というか、稚拙すぎて、ミステリーや推理小説の門外漢である俺でも「オイ!」と言いたくなる展開。
優れた小説家の多くは、デビュー三作目で自分の殻を突き破ることが多いと聞いたことがある。先日発売した『ジェネラル・ルージュの凱旋』のクオリティに期待したい。