- 作者: 機本伸司
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2006/05
- メディア: 文庫
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凡庸な大学生が、卒業のために天才女子大生(しかし飛び級なので年齢的には女子高生)と「宇宙を作れるか」というテーマで行動を共にするようになるというアウトライン。ありがちなのかそうでないのか正直よくわからないけれど、とりあえず突飛な設定ではある。そしてなかなか本格派の設定だ。しかし大学の授業の一環としてのディベートという場で宇宙創世が話されるため、文体の平易さも相まって、意外なほどに読みやすい。
天才女子の方はいわゆるツンデレを通り越して、ほとんどデレが存在しない。話し方はほとんど中年のおっさんで、人を信頼せず、だから自分への共感も求めない。感情移入や萌えを絶妙に拒否するヒロインなのだが、天才故に実存に関わる様々な葛藤を抱えており、物語後半になるとその苦悩が滲み出てくる。
これは面白い。