野田サトル『ゴールデンカムイ』10巻

ゴールデンカムイ 10 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

ゴールデンカムイ 10 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

節目とも言える10巻に突入。敵味方が入り乱れて複雑化しているが、面白さは凄くシンプルだ。暴力描写、食事描写、北海道の自然やアイヌ文化の描写。ただ、いつになったら網走に着くんだろうなあ。

堀越耕平『僕のヒーローアカデミア』13巻

僕のヒーローアカデミア 13 (ジャンプコミックスDIGITAL)

僕のヒーローアカデミア 13 (ジャンプコミックスDIGITAL)

作品のコンセプトや設定としては凄く魅力があると思うのだが、正直破綻しているよなーと思うのが、主人公とライバルである爆豪の度を越した近視眼的振る舞い。どちらもヒーローとしては役不足ではないかと思う。今回も、自分たちの立場を完全に無視して私闘を繰り広げているのだが、これが二人の問題の解決に繋がるなら良し、そうでないなら……どうなんだろね。作品の魅力としてはフェードアウトしそうな気もする。少なくとも少年漫画におけるライバルは、他人を罵倒したり、卑下したり、否定したりするものではないと思う。

川崎直孝『ちおちゃんの通学路』6巻

ちおちゃんの通学路 6<ちおちゃんの通学路> (コミックフラッパー)

ちおちゃんの通学路 6<ちおちゃんの通学路> (コミックフラッパー)

学校では目立たないように振る舞っているゲームオタクの女子高生が通学路で様々なトラブルに巻き込まれる……というスラップスティック調のコメディ。朝の投稿時間だけでここまでやれることに驚きを覚える。しかし6巻は結構はっちゃけてきたなー。下ネタもグイグイ来て、Amazonでは「逃げ」だと評価が下がってしまっている。わたしはけっこう面白かったけど。

伏瀬+川上泰樹『転生したらスライムだった件』1〜4巻

典型的な「なろう系」作品である。

最初から主人公が特別に強いのである。伝説の魔王級に強い。物語の主人公なんだし特別なのはわかっているのだから、いちいち変な葛藤や努力など要らぬ、最初から強くしといてよ、その方が手っ取り早い、ということである。これは「なろう系」の中でも特に読者の需要が高い「強くてニューゲーム」というテンプレートらしい。

これをギャグではなく、ストーリー漫画としてやる。

そこに新しさと面白さがあるんだが、葛藤がない。努力がない。

だから何度も読み返す気にならない。

コトヤマ『だがしかし』7巻

だがしかし(7) (少年サンデーコミックス)

だがしかし(7) (少年サンデーコミックス)

ヒロインのほたるちゃんが出てこない……という新展開。

新キャラも良い味を出しているんだが、やっぱりほたるちゃんがいないと。

7巻ラストでそれっぽいのが出てきたが、さてどうなるか。

諫山創『進撃の巨人』22巻

進撃の巨人(22) (週刊少年マガジンコミックス)

進撃の巨人(22) (週刊少年マガジンコミックス)

ここまで来たかーという感想。

紆余曲折……というか、作者的には一本道だったのかもしれないが、少なくとも読者としては、中だるみの時期や、物語を結局どうしたいのかが見えない時期もあった。そういうものを全て乗り越えて、あー、ここまで来たかーという感想なのである。

さて、ここからどうするのかな。

「海」に辿り着いた。

ここで終わりなのか、ここからが始まりなのか。

井上堅二+吉岡公威『ぐらんぶる』1〜8巻

伊豆大学という海沿いの大学に進学してダイビングショップ「グランブルー」を営む叔父の家に居候することになった主人公が、グランブルーに入り浸っているダイビングサークル「Peek a Boo(ピーカブー)」のメンツに見初められ、半強制的にダイビングサークルに入る……というプロローグである。と言ってもダイビングの描写よりは飲み会の描写の方が圧倒的に多い。というか大体へべれけになるまで飲んで裸になっている。わたしもここまでではないが多少は羽目を外した経験がある。今は記憶をなくすほど飲むことは皆無だが、まあそういう経験もあって良かったんだろうなと思う。

なお、わたしは最近この漫画に激ハマりして、何度も何度も読み返している。もう10回は読んだだろうか。面白くない漫画を何度も読み返すことはしないが、仮に面白くても何度も読み返すとは限らない。本作は、とにかくおバカで、何度読んでも笑えて、そして眩しい。そしてわたしも、ここまでではないが、多少は「何もないおバカな青春」とやらを過ごしてきたことを思い出し、明日への活力がみなぎるのである。いやマジで。

木多康昭『喧嘩稼業』8巻

喧嘩稼業(8) (ヤングマガジンコミックス)

喧嘩稼業(8) (ヤングマガジンコミックス)

とにかく「勝てば良い!」という、スポーツマンシップとは無縁の格闘技漫画。でも生きるか死ぬかの場面で、500億円とかの優勝賞金が見えている中で、スポーツマンシップもないだろう(少なくともスポーツマンシップに則った人ばかりではないだろう)というのも事実。この作品では、いわゆる暗殺者のような裏世界の強者を集めており、そうしたダーティーな戦いが起きやすくしている。

まあイチ高校生たる主人公が最もダーティーで、勝ちに貪欲なんですがね。

そこが面白い。

横田卓馬『背すじをピン!と』10巻

最近集中的に読んでいる「ダンス漫画」のひとつ……だったんだが、完結。もう少し続けても良かったような気もするが……まあダンス漫画が増えてきていることもあるし、仕方ないかなー。あとは『ボールルームへようこそ』と『ダンス・ダンス・ダンスール』と『絢爛たるグランドセーヌ』に期待しよう。

佐藤秀峰『Stand by me 描クえもん』1巻

Stand by me 描クえもん 1巻

Stand by me 描クえもん 1巻

未来から来た自分だと名乗るハゲでデブなおっさんが「漫画家を辞めろ。そのまま続けたら自分みたいな腐った親父になっちまうぞ」と忠告する、という冒頭から始まる作品。

漫画家になれば報われると信じて辛い現実を何とか乗り切っている主人公は、いきなり目の前に現れた変なおっさんの言うことなど当然聞き入れたりはしない。しかしこの変なおっさんは、自分しか知らないようなことを言ってのけたり、本当に未来を知っているとしか言いようのない精度で言い当てたりする。そしてそのまま居候するのである。全体的に陰鬱だが、その焦燥感を持ちながらも何とか現実を変えてやろうともがくという構図は、作者の代表作『ブラックジャックによろしく』に通ずるところがある。

なお、主人公の行動によって、おっさんの禿頭に少しだけ毛が生えるなど、未来が変わる様が暗示されている。主人公が、おっさんの意見を聞いたり聞かなかったりしながら現実を変えていき、その変化がおっさんの体に表れる……という感じになるんだろうな。

白井カイウ+出水ぽすか『約束のネバーランド』1〜3巻

グレイス=フィールドハウスと呼ばれる孤児院で生活する主人公たち。彼らには親はないが、自然あふれる広大な孤児院の中で、他の孤児たちと協力しあって暮らす。孤児院のシスターである「ママ」と慕われるイザベラも優しい。そして6〜12歳の間に里親を見つけ、送り届ける。ここに暮らす子供たちは皆、孤児とはいえ、何不自由なく、幸せを感じながら生きている。

それが虚飾にまみれた日常だということに気づくまでは。

ある日、里親が見つかり孤児院を出ることになった仲間の忘れ物(ぬいぐるみである)を届けようとした主人公は、仲間が「鬼」のような異形の怪物によって「食肉」として出荷される場面を見ることで、唐突に、これまでの生活の全てが嘘だったことを知るのである。

そして主人公たちは、孤児院が実際には「監獄」であり、「人間飼育場」であることを知る。外は危険だから外に出るなと言われた孤児院の周囲は高い壁に覆われていること。そして自分たちの体には発信機のようなものがつけられ、どこにいても見つかってしまうこと。そしてシスターは自分たちの味方ではなく、自分たちを出荷する鬼の側であること。こうした自分たちの置かれた状況を知ってしまった主人公たちは、脱獄の準備を始める……というのがアウトラインである。

第1話から引きが強く、心理戦としてもなかなか面白い。おすすめ。

石田スイ『東京喰種トーキョーグール:re』10巻

東京喰種トーキョーグール:re 10 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

東京喰種トーキョーグール:re 10 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

このところあまりにも人が死に過ぎるので、久々に1巻から通しで(といっても:「re」からだが)読んでみた。

涙が、溢れた……。

相変わらずハチャメチャにストーリーが進み、とにかく人間や喰種が死にまくっているだけのように思えるが、改めて読むと皆その時と場所で必死に生きているに過ぎない。この世界に善人や悪人というものが果たして存在するのだろうか? 思いの「強さ」と「歪み」はある。一部の人の心には善を為したいという心も。しかしそれ以外にあるのは思いの連鎖だけである。そしてその思いの多くは「恨み」なのだ。なんと悲しい世界だろうか。

さて、当初の主要キャラクターが多くが死んでしまい、CGCも組織としてはもはや「ギリギリ」というところである。そろそろエンディングが近づいてきたように思うが、ここまで先の読めない物語は珍しい。どこに着地するのか? 主人公が望む、人間と喰種がわかりあえる世界……まさかね? 本当に見られるなら、わたしも見てみたい。

いがらしみきお『ぼのぼのs』2巻

ぼのぼのs 2 恋するぼのぼの (バンブーコミックス)

ぼのぼのs 2 恋するぼのぼの (バンブーコミックス)

4コマ漫画ではなくストーリー漫画の「ぼのぼの」を楽しもうという本。今回は、ぼのぼのの「恋」を描いているのだが、ぼのぼのに恋愛じみた話はほとんど(全く?)出てこなかったので、その意味では新鮮。

ただ以前も書いたように、『ぼのぼの』は元々4コマではなく8コマでひとつのネタになっているし、8コマに1回必ずオチがあるかと言えばそんなこともなく、ゆるゆるとストーリー漫画みたいなことを4コマ漫画のフォーマットでやっていたりする。だからストーリー漫画になったからと言ってそれほど違和感はないし、逆にそれほどのプラスの変化も感じない。まあぼのぼのが好きな人は是非、というぐらいだな。

いがらしみきお『ぼのちゃん』2巻

ぼのちゃん(2)

ぼのちゃん(2)

ぼのぼのが産まれたばかりの頃を描いた絵本。

まさか2巻が出るとは!

まあぼのぼのたちが今のレベルまで成長するにはかなりの年月が必要だったはずで、2巻を描くことも可能ではあったが………。

ということは3巻もある?

いがらしみきお『ぼのぼの』42巻

ぼのぼの(42) (バンブーコミックス 4コマセレクション)

ぼのぼの(42) (バンブーコミックス 4コマセレクション)

森に住む動物たちを描いた奇才・いがらしみきおの四コマ漫画。Wikipedia曰く「不条理ギャグと哲学とほのぼのが融合した、独特の作風」とのことだが、言い得て妙である。タイトルであり主人公(ラッコ)の名前でもある「ぼのぼの」は当然「ほのぼの」から来ているが、単なる「ほのぼの」だけでない深みがある。

42巻も相変わらずの面白さで、例えば42巻ではシマリスのお姉ちゃんの赤ちゃんが出て来る。ぼのぼのたちはシンプルなので、何かが生まれたら、生まれた意味や、生まれたことの影響を考えてしまう。しかし難しい言葉ではない。ゆっくりと静かに、内面に潜り込むような思考である。何とも言えない作品だ。