白井カイウ+出水ぽすか『約束のネバーランド』1〜3巻

グレイス=フィールドハウスと呼ばれる孤児院で生活する主人公たち。彼らには親はないが、自然あふれる広大な孤児院の中で、他の孤児たちと協力しあって暮らす。孤児院のシスターである「ママ」と慕われるイザベラも優しい。そして6〜12歳の間に里親を見つけ、送り届ける。ここに暮らす子供たちは皆、孤児とはいえ、何不自由なく、幸せを感じながら生きている。

それが虚飾にまみれた日常だということに気づくまでは。

ある日、里親が見つかり孤児院を出ることになった仲間の忘れ物(ぬいぐるみである)を届けようとした主人公は、仲間が「鬼」のような異形の怪物によって「食肉」として出荷される場面を見ることで、唐突に、これまでの生活の全てが嘘だったことを知るのである。

そして主人公たちは、孤児院が実際には「監獄」であり、「人間飼育場」であることを知る。外は危険だから外に出るなと言われた孤児院の周囲は高い壁に覆われていること。そして自分たちの体には発信機のようなものがつけられ、どこにいても見つかってしまうこと。そしてシスターは自分たちの味方ではなく、自分たちを出荷する鬼の側であること。こうした自分たちの置かれた状況を知ってしまった主人公たちは、脱獄の準備を始める……というのがアウトラインである。

第1話から引きが強く、心理戦としてもなかなか面白い。おすすめ。