志村貴子『娘の家出』6巻

娘の家出 6 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

娘の家出 6 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

元々オムニバス形式なので「完結」の定義も難しいのだが、6巻で完結した模様。

面白かったのでまだもう少し続きが読みたいなあ。

志村貴子『こいいじ』6巻

こいいじ(6) (Kissコミックス)

こいいじ(6) (Kissコミックス)

主人公(女)が、振られても振られてもずーっと幼馴染の男のことを好きで居続けて、向こうもその気持ちをわかっていて……というストーリー。これはホラーなのか、コメディなのか。正直「振られても好きだ」という体を続けるのは楽なんだよね。向こうもこっちの気持ちを知っているから強くは出られない。でも、これはクソなんだよ。

6巻では、改めて振られたことで、家も引き払って一旦遠くに引っ越すのだが、結局また戻ってくる。で、7巻の次巻予告を見たら、結局また同じことをやっている。5巻の時点で相当気持ち悪いと思ったのだが、結局6巻を買って後悔。でもここまで読んだということで7巻も買っちゃうんだろうなー。

古橋秀之+別天荒人+堀越耕平『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』1巻

『僕のヒーローアカデミア』のスピンオフ作品。

スピンオフというのは大抵、4コマ漫画や、登場人物だけを使った学園モノ、要は「毒にも薬にもならない」作品が多かった。しかし本作は違う。原作の世界観を完全に踏まえつつ、オリジナルキャラクターを使ってオリジナルストーリーを展開している。しかも絵柄は堀越耕平本人が書いたかと見紛うほどに似せている。ストーリーも作画も驚くほどにプロである。

しかも設定が良い。原作は、「無個性」のためにヒーローになることを諦めていた主人公が、泣く子も黙るトップヒーローに個性を譲ってもらい、ヒーローの資格試験を受け、トップヒーローにならんとする物語だ。これ、確かに面白いんだが、逆に言うと「強力な個性がなければ人を助けないの?」「資格がなければ人を助けないのか?」という疑問がある。しかし本作は、しょぼい個性だけどそれを活かして趣味として人助けをしてきた主人公が、無個性のまま「ただの頑丈なおっさん」として世直しをしちゃっているおっさんが出会い、(彼に惹かれてというか無理やり付き合わされる形で)しょぼい個性のまま巨悪と戦っていく……というストーリーになりそうだ。しかも二人ともヒーロー資格を持っていない。この世界観では、ヒーロー資格を持っていない者がヒーロー活動をしてはならないことになっている。しかし本来これも、善意の人助けに資格など要るのかという話であり、原作の矛盾というか突っ込まれると弱いところを、とことん補っている。相当練り込まれており、プロの所業というほかはない。

2巻も本当に楽しみ。

日暮キノコ『ふつつか者の兄ですが』5巻

ふつつか者の兄ですが(5) (モーニングコミックス)

ふつつか者の兄ですが(5) (モーニングコミックス)

色々と伏線を張りながら、物語の展開と伏線回収を同時にこなす手管には脱帽。この人、漫画家としてのキャリアは若手と中堅の間ぐらいだと思うのだが、前々から巧いよなーと思う。まあ『モンクロチョウ』あたりは習作というイメージなのだが、『喰う寝るふたり 住むふたり』からは画力的にも構成的にもストーリー的にも凄く巧い。

平本アキラ『監獄学園』25巻

監獄学園(25) (ヤングマガジンコミックス)

監獄学園(25) (ヤングマガジンコミックス)

長く続きすぎた感のある騎馬戦も、やや唐突気味に終了。

まあ終わったことを喜ぼう。

初期の頃のように、もう少しテンポが早いと良いんだが。

此元和津也『セトウツミ』1〜2巻

セトウツミ 1 (少年チャンピオン・コミックス)

セトウツミ 1 (少年チャンピオン・コミックス)

セトウツミ 2 (少年チャンピオン・コミックス)

セトウツミ 2 (少年チャンピオン・コミックス)

キャッチコピーは「この川で暇をつぶすだけのそんな青春があってもええんちゃうか」

元々サッカー部だったが、先輩を無視してフリーキックを蹴ってしまったが故にサッカー部を辞める羽目になって何もすることのない瀬戸と、塾までの時間つぶしをしたい内海が、放課後、川辺でゆったりまったり会話を繰り広げるという漫画。

完全な会話劇であり、はっきり言って漫画にはそぐわない設定である。

漫才というかコントというか。YouTubeでも良い気もする。

わたしが言いたいのは、こうした漫画に不利な題材で「面白い」というのは、けっこう凄いということである。完全にノーマークだったが、映画化もされているようだ。ただ会話劇で、会話の内容はもうわかってしまっているから、改めて映画を観るほどのメリットがあるかと問われると微妙だが。

永椎晃平『星野、目をつぶって。』1〜5巻

星野、目をつぶって。(1) (週刊少年マガジンコミックス)

星野、目をつぶって。(1) (週刊少年マガジンコミックス)

スクールカーストの下位に位置する美術部の主人公(男)が、色々あって、スクールカーストの最上位に位置する派手め系の女子の化粧をすることになる。その肝心の「色々」の内容だが、その女子は素顔があまりにも地味で、中学デビューと同時に素顔を(親友にも)隠して生活している。しかしその女子はあまりにも不器用で、自分で自分の化粧をすることができない。これまでは幼い頃から姉代わりとして仲良くしてきた人物が高校教師をしており、先生に化粧をしてもらっていたのだが、先生も忙しくなってきて今後は今までのように化粧ができないので、代わりの化粧要員として、美術部の主人公に白羽の矢が立つ……という設定。

最近、何度も何度も読み返している漫画を2つ挙げよと問われたら、迷わず『ぐらんぶる』と本作である。『ぐらんぶる』はおバカ漫画なのだが、こちらは結構正統派のラブコメである。しかし話の作りも絵の作りも丁寧で、伏線も色んなところに張られているので凄く面白い。

とりあえず「お色気で勝負しとけ」のラブコメが多い中、好感度大。

余談

伏線といえば、ヒロインの友達が病弱で、しょっちゅう床に伏しているのがどうも気になる。これは今後、ストーリーに繋がってくるかなーと思う。おバカなので「病欠のせいで出席日数が足りず留年の危機」というのも考えられるが、やはり病気が酷くなって云々みたいな展開になるんじゃなかろうか。

水口尚樹『早乙女選手、ひたかくす』2巻

早乙女選手、ひたかくす(2) (ビッグコミックス)

早乙女選手、ひたかくす(2) (ビッグコミックス)

新たなキャラクターが出てきて、動きが出てきた。

二人の関係を取り持とうとする恋のキューピッド役というか、何というか。ただ主役2人ではなくて、あくまでもサブキャラがあちこちいじくってストーリーを回すというのも、面白いような、面白くないような。今の感じだと、主役2人は完全に巻き込まれ型主人公である。

岩明均『ヒストリエ』10巻

ヒストリエ(10) (アフタヌーンコミックス)

ヒストリエ(10) (アフタヌーンコミックス)

やっと10巻ですか。

長かった。

で、比較的フラフラしていた主人公も、やっと次のステージが見えてきたというか。

しかしこれまでの刊行ペースを見ていくと、2年に1冊なんだよねー。このペースだと、完結するまでに果たして何年かかるのか……。まあ『ベルセルク』のように刊行自体が止まってしまうよりはマシかもしれないが。

宮原るり『僕らはみんな河合荘』9巻

僕らはみんな河合荘(9) (ヤングキングコミックス)

僕らはみんな河合荘(9) (ヤングキングコミックス)

こう来ましたかー。

もう少し長々と「友達以上恋人未満」を続けるのかと思ったが、良いところでスパッとケジメをつけてきたなー。Amazonのレビューでは「よくやった!」と高評価がたくさんついているが、わたしもダラダラし過ぎずに、この辺で主人公とヒロインの関係に決着をつけた方がスッキリして良かったと思う。

あとは10巻で、サブキャラクター達にケリをつけて大団円、かな。

桑原太矩『空挺ドラゴンズ』2巻

空挺ドラゴンズ(2) (アフタヌーンコミックス)

空挺ドラゴンズ(2) (アフタヌーンコミックス)

龍という架空の生物(しかも大型から小型まで種類めっちゃ多い)は確かに魅力的だが、単に龍かっけーで終わらせず、龍の存在をこの世界観における「ビジネス」や「職業」としてきちんと設定を作り込んできたあたりに、本作品の魅力がある。

いや、そりゃね、龍だって空ばかり飛んでいるわけにも行かないから、たまには地面に降りてくるし、それが街だったら被害も起こるわけですよ。それで龍を捕獲する、捕鯨ならぬ捕龍という行為が出て来る。しかし龍という存在自体が超越的であり、龍を捕獲する人々への、まあ噂というか、前近代的な偏見みたいなのも多くあると。

凄く納得できる世界観・設定である。

なお1巻は、とりあえず龍を捕まえて食う、という異世界グルメ漫画の様相を呈していたが、2巻では一転して龍や捕龍を取り巻くマクロな描写に徹してきたなという印象。ただ、やや作品としての方向性をどうするか迷っているというか、せっかくの世界観をどう料理したものか思案しているような感じを受けた。例えば娼館の女の子は、魅力的なキャラクターで個人的には気に入ったものの、別に捕龍とは関係ない気もする。

やはり本筋は、捕龍船に乗ったメンバーを掘り下げることではないかな。捕龍という職業は危険だし、最初からやりたくてやっている人と、(今はともかく当初は)やらざるを得なくて船に乗り込んだ人がいるはずである。借金のために載せられた人、故郷で色々あって根無し草の働き方しかできない人、祖父母の時代から捕龍を続けていて生まれたときから捕龍船に乗っている人……色々あるだろう。

ジョージ朝倉『ダンス・ダンス・ダンスール』5巻

ダンス・ダンス・ダンスール(5) (ビッグコミックス)

ダンス・ダンス・ダンスール(5) (ビッグコミックス)

こういう感じで、人間ドラマを織り込んできましたかー。主人公とヒロインの馴れ初めも、正直アッサリし過ぎだと思っていたのだが、こういう展開になるなら納得。

展開的には、5巻で一区切りとなって、6巻から新たな展開という感じなので、ここまで一気に読むと面白いかなと思う。

鴨鍋かもつ『魔王の秘書』1巻

魔王の秘書 1 (アース・スターコミックス)

魔王の秘書 1 (アース・スターコミックス)

魔王が、優秀な人間をさらって秘書にしたところ、あまりにも優秀すぎて、かえって魔王や魔族たちが引いてしまう……というコメディ漫画。労働法の整備や部署ごとの役割の明確化といった株式会社顔負けの合理化を実現するあたりなどは、魔王軍といっても確かに組織なんだよねと笑ってしまった。

どちらかと言えば出オチ感のある展開なので、この勢いが2巻も続くかどうかだなー。

Cuvie『絢爛たるグランドセーヌ』8巻

絢爛たるグランドセーヌ 8 (チャンピオンREDコミックス)

絢爛たるグランドセーヌ 8 (チャンピオンREDコミックス)

バレエは「楽しければ良い」では済まない競技だ。衣装やレッスンに金がかかりすぎる。野球やサッカーのように、まずは本人の才覚と努力次第で……というわけにはいかない。本気でやるなら家族を(すなわち家計を)巻き込んでプロでやっていくほどの覚悟が必要である。

主人公は今、とりあえず「たのしー!」でやっているが、既に主人公の友人は、本気でバレエを続けるかどうかの瀬戸際に立たされている。華麗だが、残酷な競技だなーと思う。それを作者は「絢爛たる」という言葉で表現したのだろうか。だとしたら、さすがバレエ経験者、言葉のチョイスが凄いわ。