江本勝『水は答えを知っている』

「その結晶にこめられたメッセージ」が副題である。あまり真面目には読んでいないのだが、本書の内容を簡潔に書けば、水という物質は、実は情報を記憶したり転写したりなどの様々な驚くべき能力を持っていて、それは水の結晶を写真に撮ることで顕著となるのだ――といった感じであろうか。ちなみに俺が買った本ではなくて、人から頂いた本である。

綺麗な水は綺麗な結晶を形作るが、汚染された水や塩素消毒された水は結晶自体をうまく形作ることができない――といったことが写真と共に語られる。これらは、まあ創造の範囲内の現象であるから、とりあえず違和感なく受け入れられることだろうが、ただ本書は、そんな常識的ところでは終わらない。

水に音楽を聴かせたら綺麗な結晶が形作られるとか、水に「ありがとう」と言葉をかけたら美しい結晶が出来るのに対し「ばかやろう」と言葉をかけたら結晶が崩れてしまうとか、「愛・感謝」という言葉を貼り付けたコップの中の水を使ったら綺麗な結晶が形作られるとか、「悪魔」という言葉を貼り付けたコップの中の水を使ったら全く結晶が形作られないとか、電子レンジで温めた水は電磁波に汚染されているから「悪魔」という文字を貼り付けたコップの中の水と極めてよく似た結晶の形になるとか、思わず「ほんまか?」と言わざるを得ない怪しさ満点の実験レポートを写真と共に語っているのである。

うーむ、とりあえず俺は、にわかには信じられない。幾つも作った結晶の中から自分にとって都合の良い結晶を選び出したのではないのか、という疑念は捨てられないなあ。というか、水にミステリーサークルの写真を見せたら結晶がUFOの形になったとか、トレヴィの泉の水を使ったら結晶が金貨のような形になったとか、水に子守唄を聴かせたら結晶の真ん中に子供の顔が出てきたとか、ここまで来ると完璧に「トンデモ本」であろう(笑)

水の結晶に関すること以外にも、波動がどうこうとか、水は地球上の物質ではなかったからどうこうとか、色々と言っているのだが、とりあえず俺は怪しさ満点過ぎて納得できないし、著者の宗教観や世界観も大部分は納得できない。ただ「すべては人間の意識がつくっている。イメージが世界をつくっている」という下りは共感的に読んだ。著者の考えからすると、その「人間の意識」や「イメージ」は波動として他者に影響を及ぼすらしい。つまり同調効果・共振効果のようなものがあるそうな。それを「波動」などと怪しげな名称で呼ぶのはどうかと思うが、俺の周囲を見回してみると、確かに同調効果――「類は友を呼ぶ」という状態が起こっているような気はする。