春山満『どないしましょ、この寿命』

24歳のときに筋ジストロフィーという進行性の難病を発症したため首から下が全く動かなくなったものの、福祉コンサルティングや福祉機器の企画制作などを行う会社を設立してパワフルに頑張っている著者の半生記。筋ジストロフィーを発症する前から、発症の経緯、なぜ今の自分が福祉コンサルティングや福祉関係の器具を作っているか、今の自分が同考えているか、そういったことについての本。

障害を抱えてもマイナス思考に陥ることなくパワフルに活動しているという点では乙武洋匡に通ずるものがあるが、乙武は先天的な障害であるから、障害を受け入れる乙武のスタンスは、(批判的な意味ではないが)ある種の無神経や無自覚を思わせる。

しかし春山満の場合は、生まれつきではなく、また進行性の病である。より自覚的かつ切実に身体とは何かということについて考えさせられたのだろう。苦しみや葛藤から提唱されるようになったテンポラリーアビリティ(一時的健康体)という考え方は、一応「健康体」である俺らに対して、非常に考えさせられるものだ。2人に1人が人生の最後を寝たきりで過ごすそうだが、その事実は「テンポラリーアビリティ」の考え方が的を射たものであることを端的に示している。