藤原和博『リクルートという奇跡』

小さな会社だったリクルートを現代を代表する企業へと引き上げた功労者の1人である藤原和博が、自分の見てきたリクルートの手記を実名で書くことによって、「自己決定できるサラリーマンを生み出した日本で最初の会社」と評されるリクルートの社風や躍進の秘密を明らかにしようとする書――というアウトラインであろうか。

実際に読んだ感想としては、リクルートというよりは、スーパーサラリーマンと呼ばれたこともあるリクルート・フェロー、藤原和博の自伝的ルポといった感じだ。リクルート事件が構造的にどのように引き起こされたのかを知りたい人や、藤原和博のリクルートでの挑戦を知りたい人、俺のような藤原和博のファンは、得るものもあるだろう。ただ、ビジネス書や自己啓発書を本書に期待しても、それほど得るものはないような気はした。