村上春樹+稲越功一『使いみちのない風景』

何とも説明しづらいのだが、何やら意味がありそうでなさそうな文章と写真で綴られた象徴的なエッセイ。風景と記憶をめぐる緩やかな考察とでも言おうか。ビシッとキーワードを示すことも出来るんだけど、そうすると読む楽しみが減ってしまうかもしれないので。これは雰囲気を楽しむ本だから、できるだけ雰囲気は隠しておきたい。まあ最初は何のことやらという感じもあるかもしれないが、読み進むにつれて『使いみちのない風景』というタイトルの意味が明らかにされ、何だかなあといった感じの写真が村上春樹の文章と微妙な関係を持ち始める。