キャメルヤマモト『稼ぐチームのレシピ』

キャメルヤマモトの本は全て読んでいるが、『稼ぐ人・安い人・余る人』以降、『コツコツ働いても年収300万 好きな事だけして年収1000万』も『「稼ぐ人」に育てる七つの才』も『「ムダな時間」の充電力「バカな時間」の開放力』も、(それなりには面白いが)ほとんどデビュー作の焼き直しに近いような印象は拭えなかった。しかし本書は(相変わらず今までと同じ話もあるのだが)新たな内容にスポットを当てた本となっている。

今までのキャメルヤマモトの本は「いかに自律したプロフェッショナルとして生きるか」といった観点からの本だった。キャメルヤマモトの所属するコンサルファーム(ワトソンワイアット)では「コンピテンシー(成果に繋がる思考・行動特性)」という概念を非常に重要視しており、その流れを汲んでいたと言える。しかし本書は、コンピテンシーを単に個人の問題として捉えるのではなく、「個人がいかにチームとして機能して成果を上げるか」といった、いわゆるチームコンピテンシーへと論を展開している。その意味ではとても面白かった。ただ、前半部で説明されていた4つのチームタイプ(仲間チーム・軍隊チーム・開発チーム・アメーバチーム)は、最初の3つはありふれているし、最後のアメーバという概念はワトソンワイアットのコンサルタントが共通して持っている概念なので、正直あまり新味はなかった。もっとチームコンピテンシーの概念を前面に押し出してくれたら、より面白くなったと思う。

ワトソンワイアットの他のコンサルタントが使っていない「(価値)アスピレーション」という表現は、デビュー作で目にして以来、響きとしても概念としても気に入っているので、できることなら、今後もっと深堀りしてほしい。