
- 作者: 奥本大三郎,見山博
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1996/06
- メディア: 文庫
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第4巻では、クモ、サソリ、カマキリ、オサムシといった肉食の昆虫を中心的に取り上げている(まあクモやサソリは昆虫ではないが)。どれもこれも非常に興味深いのだが、個人的にはサソリの生態が特に興味深かった。サソリはあまり大食いではなく、時期によっては絶食に近い食生活を過ごしても平気である。またあまり大きな生き物を積極的に襲うこともない。しかしサソリの攻撃は実に巧妙で、最強クラスのクモやカマキリ・ハチと戦わせてみても、サソリは百戦百勝である。相手はキバや針・カマで攻撃しようとするのだが、大体アッサリと大きなハサミで掴まれてしまう。そうなると相手に近づこうと獲物がもがく中、長い尾の先にある毒針を、敵の上部から無造作にブスリと刺し込む。サソリの戦術は実に立体的なのである。
しかしサソリの毒も、効きやすい生き物と効きにくい生き物がいる。芋虫に代表される幼虫は、ほとんど毒が効かないのである。ファーブル先生は、精密な体の仕組みを持った昆虫ほど毒によって狂いやすく、単純な構造の昆虫はシンプルなだけに強い、といった結論を出している。なかなか興味深い話である。