外尾悦郎『ガウディの伝言』

ガウディの伝言 (光文社新書)

ガウディの伝言 (光文社新書)

ガウディは俺の最も好きな建築家/芸術家である。というよりも、ガウディの他には、俺が真に心を奪われ畏怖を覚えた建築家/芸術家は多分いないように思う。
俺が初めてガウディを知ったのは(おそらく)学校の授業か何かであろうが、初めてガウディの作品をちゃんと見たのは、テレビ番組だった。確かガウディやサグラダ・ファミリアの特集番組で、ビートたけしが案内役だったように思う。サグラダ・ファミリアに込めた祈りにも似た想いを知り、そして(テレビ画面を通してではあるが)サグラダ・ファミリアの姿を見たとき――文字通り、心が震えた。サグラダ・ファミリアは人間が造っているものだが、神というか人知を超えた大きな力の存在を信じたのは、あのときが初めてだったかもしれない。
著者の外尾悦郎は、俺の記憶が間違っていなければ、このビートたけしのガウディ特集番組に出演していた。日本人ながら自分の人生を賭けて、スペインでサグラダ・ファミリアの建築に携わっているという話を聞いて、国際的な活躍にも様々な形があると思ったものである。いわば日本においてガウディを「体現」する第一人者と言えるだろう。
ガウディの魅力や人生・作品に込めた想いや考えを存分に知ることができる一冊である。