北崎拓『クピドの悪戯 「虹玉」』5巻

クピドの悪戯―虹玉 (5) (ヤングサンデーコミックス)

クピドの悪戯―虹玉 (5) (ヤングサンデーコミックス)

「虹玉」は、現実にはありえないような状況に巻き込まれた若者の恋を描くオムニバスシリーズ「クピドの悪戯」の第一弾。父親の板金工場で働く冴えない21歳童貞・睦月智也は、ある日オナニーをすると、精液と共に小さな赤い玉をも(なぜか)発射してしまう。これは虹玉という、7色の玉を発射すると(つまり7回射精すると)もう二度と射精ができなくなるという治療法不明の奇病――といった設定。
まあ本作は、突き詰めれば、大倉怜子と桐生麻美の三角関係なのだが、とにかくエロい。萌えだの妹だの猫耳だの綾波レイチックな髪型だのといったオタク層の喜びそうなパーツ(古い?)を安易に集めてくるのではなく、世の健全な男性が読んだら「エロいなあ」と思うような、粘っこい目線でのエロが続く。エロな描写も実に長い。2巻なんて結局セックスには至らなかったわけだが、セックス前の駆け引きや葛藤、ペッティング・ピロートークの類で、2巻の半分以上は費やされているはず。
そもそも大倉怜子と桐生麻美という2人のヒロインが、世の健全な男性が一度は妄想したことのある「ありえない女性」そのものの設定と言って良い。大倉怜子は、年下で、超美人で、痩せているくせに超巨乳で、内気で今まで男と付き合ったことはなく素っ気ないが、時折見せる表情は非常に良い。いわゆるツンデレ。しかもエロいことにも興味がある。一方の桐生麻美は、超美人というほどではないものの、普通の男性が心を惹かれるほどには美人であり、スタイルもバランスが取れており、明るくて気配りができるため男女を問わず人気があり、辛い恋愛を繰り返しているからか、尽くすタイプである。料理も得意で、プレーも積極的――という、もう(書いていて嫌になるほど)犯罪級のありえなさである。こんな女、絶対いねえ。