伊坂幸太郎『フィッシュストーリー』

フィッシュストーリー

フィッシュストーリー

短編集。伊坂幸太郎の作品は安定して面白い。他の作品とちょっとずつリンクする構成もテクニカルで良い。そう言えば、本書の著者紹介にも同様のことが書いていたなあ。個人的に好きなだけだったのだが、著者の「ウリ」だったのか。
収録作品で特に面白かったのは、表題作「フィッシュストーリー」かな。フィッシュストーリーとはホラ話のことらしいが、瀬川という青年のキャラクターが面白い。彼(性格には彼の父親)曰く、正義の味方に必要なのは、職業でも肩書きでもない。強い肉体と、動じない心。それを身につける準備こそが、必要なのだそうだ。準備。なかなか深い。