『COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)』創刊38号

フランスの「Courrier International(クーリエ・アンテルナショナル)」と提携し、世界の重大記事や日本のことを海外メディアがどのように報道しているのかを集めた月刊誌――で良いのかな。創刊直後は熱心に買っていた雑誌ではあるものの、今回は久々の購入。最近は仕事で月に20冊くらいは雑誌を読む必要があり、今まで読んでいた『クーリエ・ジャポン』や『フォーサイト』の購読を中止しているのである。いつの間にやら隔週発行から月刊になっていたが、まあ基本的なスタンスやコンセプトは変わらないだろうから、上の説明で良いとは思う。
なぜ今号を久々に買ったのかというと、今号はサッカー元日本代表のヒデこと中田英寿による責任編集だからである。「日本人は、自分たちの可能性に気づいていない。ぼくは、日本人の意識を変えたいからこういう雑誌をやりたいと思った」という考えが責任編集をやりたいと思った理由だそうだが、元スポーツ選手がこうした雑誌の責任編集を努めるというのは、寡聞にして聞いたことがない。
今号では「ASIA 可能性に満ちた国々」「世界を幸福にするビジネスとは?」という2つの特集が企画されているが、俺は特に「世界を幸福にするビジネスとは?」が面白いと思った。フェア・トレードグラミン銀行に代表されるマイクロクレジットマイクロソフトの重役の地位を捨てて社会起業家(ソーシャル・アントレプレナー)となったジョン・ウッド、テラサイクルというリサイクルビジネスのニューカマー、バイオガスプロジェクトに取り組む中国と香港のNGO、ウォルマートやコカ・コーラなどの名だたる企業が取り組む持続可能な(サステナブル)ビジネス――と、既知の内容もあったが、非常に興味深い構成である。
中田英は、引退時にHPで「人生とは旅であり、旅とは人生である」と書き込んで以来、本当に長い旅を続けてきたようだ。中田英の顔を久々に見たが、ずいぶん柔和な表情が増えた。俺はサッカー選手としての中田英が好きなので、やはりマスコミ嫌いの無愛想な顔の方が好きである。しかし世界的な活動からしか見えないような問題意識を色々と持ち寄って日本に提言してくれるのは、やはり勉強になる。