フレディ・バレ+マイケル・バレ『ザ・ジャストインタイム』

ザ・ジャストインタイム 現地現物が最高の利益を生む

ザ・ジャストインタイム 現地現物が最高の利益を生む

トヨタ生産方式を題材としたビジネス小説。エリヤフ・ゴールドラット博士の『ザ・ゴール』が流行って以来、中途半端なビジネス小説を数多く本屋で見かけるが、本書は非常に奥深い内容で、読み応えも十分。正直に言わせてもらえば、最後の方はまだ腹に落ちていない箇所もあるが、前半部分は非常に得心したし、工場での作業以外にも当てはまるポイントも多い。作業そのものに品質管理の仕組みと考え方を取り入れ、品質を担保すること――これは凄い考え方だ。在庫という概念はホワイトカラーにはないかもしれないが、それでも確かに、一見してスムーズに流れれば流れるほど問題は地下に潜るし、効率化を追求するあまり単純作業をまとめてしまうと失敗したときの手戻りも多いし、緊張感がなくなって重大な失敗が埋もれてしまう可能性もある。なるほどなあ。実に深い。