中村融&山岸真『20世紀SF 1940年代 星ねずみ』

20世紀SF〈1〉1940年代―星ねずみ (河出文庫)

20世紀SF〈1〉1940年代―星ねずみ (河出文庫)

先日読んだ『SFが読みたい!』でも紹介されていたSFアンソロジー。20世紀SFと書いていながらシリーズ第一弾が1940年代なのだが、これもまたSFの歴史を踏まえればこその判断らしい。本書の解説によると、1940年代こそSFの基礎が築かれた時代らしい。
収録作は以下の11篇。

フレドリック・ブラウン「星ねずみ」
アーサー・C.クラーク「時の矢」
アイザック・アシモフ「AL76号失踪す」
レイ・ブラッドベリ「万華鏡」
ロバート・A.ハインライン「鎮魂歌」
C.L.ムーア「美女ありき」
ウィリアム・テン「生きている家」
A.E.ヴァン・ヴォート「消されし時を求めて」
エドモンド・ハミルトン「ベムがいっぱい」
シオドア・スタージョン「昨日は月曜日だった」
チャールズ・L.ハーネス「現実創造」

最初の5編は(俺でも知っている)超有名作家だが、さすがに読ませる。例えばクラークの「時の矢」なんかはタイムマシンの面白さと怖さを表現した象徴的なエピソードと言えるだろう。またハインラインの「鎮魂歌」は、宇宙に対する憧れがストレートな形で表現されており、実にSFらしいワクワク感とある種の切なさが共存している。ひとつわかったのは、SFって新しければ良いってものでもないんだな、ということだろうか。
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