
- 作者: 冷泉彰彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/01/18
- メディア: 新書
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「上から目線」に着目したのは、極めて優れた着眼だと思う。
そして、それだけの本である。
「上から目線」と日本社会や日本のコミュニケーションスタイルを結びつけるという狙いは凄く面白いが、残念ながら本書で挙げられた事例のほとんどがピンと来ないので、読んでいてあまり納得できなかった。
例えば麻生元総理が「漢字の誤読」や「バー通い」でバッシングを受けたのは、上から目線などではない。あれはメディアや民主党を初めとした当時の野党が作り上げた腐った「空気」が原因であり、著者の姉妹本(「関係の空気」「場の空気」)の方が分析フレームワークとして適している事例だと思う。
また勝間=ひろゆき対談も、事例としてどこまで適切なのか疑問。そこから導き出された、日本語という言語が暗黙的に孕み持つ上下関係の規定……というアイデアは面白かったけれども、その元になった勝間=ひろゆき対談は、単に自分の思い通りに対談をコントロールできなかった勝間がかんしゃくを起こしただけだと思う。
鳩山や菅直人の事例も出ていたが、こちらもあまりしっくり来なかった。
ただ面白いテーマではあるため、続編というかパワーアップ版を読みたい気もする。