- 作者: 高野秀行,清水克行
- 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
- 発売日: 2015/08/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ただ、そういう疑問や懸念をひとまず横に置き、純粋に時間つぶしとして読むなら、私はけっこう面白いと思うし、アリだと思う。あくまでも対談集なので、どこまできちんとした考証がなされているかは疑問だが、「なるほど」「へー」と思うことが何度もあった。例えば、日本では大麻が流行らなかった理由とか、刀と槍はピストルと自動小銃の関係と同じとか、海外では古米の方が新米より高価な地域があるとか、村単位で年貢を取り立てていたことが日本人の精神構造に影響を与えて日本社会の同調圧力に繋がっているとか、独裁者は平和が好きである……と、こんな感じの知的好奇心をじわっと刺激するネタが山ほど詰め込まれているのである。
なお本書の書名は、知らない人には何のことやら全然わからないだろうが、これは村上春樹の長編小説『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』をもじったものである。『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』という小説は、時空も世界観も登場人物も文体も異なる「世界の終り」と「ハードボイルドワンダーランド」というふたつの物語が交互に語られるのだが、読み進めるにつれ、全く別個の物語であるはずの「世界の終り」と「ハードボイルドワンダーランド」がお互いに共鳴していく……という構造を持った作品である。つまり私が先ほど書いたように、(現代の)辺境地域と日本の室町時代が、全くの別物でありながらも多くの共通点を持っているということをメッセージとして伝えたいのだろう。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 全2巻 完結セット (新潮文庫)
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/11/05
- メディア: 文庫
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- 作者: 高野秀行
- 出版社/メーカー: 本の雑誌社
- 発売日: 2013/02/19
- メディア: 単行本
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- 作者: 清水克行
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/02/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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