ヘンリー・ミンツバーグ『戦略サファリ』

戦略サファリ―戦略マネジメント・ガイドブック (Best solution)

戦略サファリ―戦略マネジメント・ガイドブック (Best solution)

戦略を「5のP」と「10のスクール(school:学派・流派)」で解説。
戦略は、planであり、patternであり、positionであり、perspectiveであり、ploy(競争相手の裏をかこうとする策略・計略)である……と定義。そしてスクール(戦略に対する一定の共通の考え方)を、本書では以下の10にまとめている。

  1. デザイン・スクール(コンセプト構想プロセスとしての戦略形成)
  2. プランニング・スクール(形式的策定プロセスとしての戦略形成)
  3. ポジショニング・スクール(分析プロセスとしての戦略形成)
  4. アントレプレナー・スクール(ビジョン創造プロセスとしての戦略形成)
  5. コグニティブ・スクール(認知プロセスとしての戦略形成)
  6. ラーニング・スクール(創発的学習プロセスとしての戦略形成)
  7. パワー・スクール(交渉プロセスとしての戦略形成)
  8. カルチャー・スクール(集合的プロセスとしての戦略形成)
  9. エンバイロメント・スクール(環境への反応プロセスとしての戦略形成)
  10. コンフィギュレーション・スクール(変革プロセスとしての戦略形成)

……と、ここまでは良いのだが、各論に入ると、正直やや難解である。玉も石も一般論も個人の経験も複雑に入り交じって氾濫する戦略を10に集約し、それぞれのスクールの関係性をも考慮しながら解説している点は、(自説のコンフィギュレーション・スクールを絶賛している点を差し引いても)凄く勉強になる。しかし良くも悪くもハウツー的な要素はほとんどなく、ビジネス書というよりは完全に学術書と言って良い。買う場合はそのことを十分に承知した上で買い、読む場合はまず各章の頭にある「監訳者ツアーガイド」を熟読することをお勧めする。