
- 作者: 千野帽子
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2012/07/06
- メディア: 新書
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本題に入るが、本書はプロの俳人ではなく自称「日曜文筆家」による俳句の入門書である。正確には、俳句の面白さというよりは句会の面白さを紹介し、初心者を俳句にハマらせようとしている本である。4章から6章などで俳句の基礎的なルールや技術も紹介しているが、それは句会を楽しむための素養としての説明である。
俳句に親しむ層を増やすという点では、必ずしも「この道何十年」のプロの俳人が俳句入門書を作る必要はなく、むしろ素人ながらも俳句作りを楽しんでいる方が入門書を書くというのは良い試みだと思う。
ただし本書は、舌鋒鋭くというか口汚くというか、とにかく著者が気に入らないことに対する批判・罵倒の嵐が凄まじい。例えば、俳句を通じて自身を表現したいと思う層および彼らによって作られた俳句を「ポエマー」「ポエム」と蔑視し(これが蔑称になるのは著者が俳句を詩歌とは捉えていないからである)、1回や2回どころか、数十回にも渡り本書の中で槍玉に挙げられ、罵られている。また俳句を「作る」という表現は良いが、俳句を「詠む」という表現は気に入らない、それどころか俳句を「ひねる」に至っては風流ぶりの極みだそうで、
俳句を「ひねる」などという鈍感な奴は俺がひねり潰してやる
とまで書いている。
ひねり潰すも何も、著者は別に俳人でもなければ、俳句界を背負って立つ存在でもない。もちろん親の敵でもあるまい。よくそこまで書けるよなと思う。