宮内悠介『スペース金融道』

スペース金融道

スペース金融道

人類が宇宙に進出し、アンドロイドが完全に実用化されて人間と(ほぼ)同じように生きている近未来を舞台とした宇宙的規模の「ナニワ金融道」が本作である。主人公は凡庸かつ常識人の金貸しで、優秀だが非情かつエキセントリックな先輩とコンビを組んで金を取り立てる、という構図が既にナニワ金融道を意識しているが、まあタイトルからしてナニワ金融道の意図的なオマージュである。

内容も、アンドロイドはともかく植物や人工知能からも金を取り立てるなど、テンションは終始「B級」のそれである。しかしそのバカバカしさが何とも言えずおかしい。

なお、宮内悠介という人は、別作品で日本SF大賞の受賞をしているが、直木賞・日本推理作家協会賞(短編部門)・山本周五郎賞・芥川賞・三島由紀夫賞などの候補にもなっており、SFに限らず幅広く活動しているという印象。最近こういう人が増えたよなー。