ひなた華月『雛菊こころのブレイクタイム1』

雛菊こころのブレイクタイム1 (講談社ラノベ文庫)

雛菊こころのブレイクタイム1 (講談社ラノベ文庫)

これも前日と同じく『米澤穂信と古典部』の対談で紹介されていた本。

これはもうレーベルからライトノベルなのだが、とにかく主人公が浅いのと、その浅い心情が全て地の文で書かれているから(ちなみに言うとセリフでも丸出しだ)、読んでいて驚きが全然ない。小説を書く時に、人物の心情を「嬉しい」だの「悲しい」だのといった安易な言葉で全て書いてしまったら読み手としては面白くないというのが常識なのだが、本書はほぼ確信犯的にそれを逆手に取って、全て「嬉しい」「悲しい」と書いているのである。まあ少年少女はこれを読んで主人公に感情移入するのかもしれない。