繁村一義+酒井邦秀『英語多読 すべての悩みは量が解決する!』

英語多読 すべての悩みは量が解決する!

英語多読 すべての悩みは量が解決する!

英語を習得するための「多読」というアプローチがある。文字通り「英文を多く読む」アプローチである。さらにぶっちゃけて書くと「習うより慣れろ」や「質より量」ということなのだが、実は「多読」を実践するには幾つかのジレンマがある。

多読で成果を出す目安は、英単語の数で換算して100万語とも300万語とも言われる。あるいは1,000万語とも3,000万語とも。ちなみにハリー・ポッターの第1巻は77,000語だそうで、300万語だの3,000万語だのというのは正直かなりの分量だ。わざわざ逐語訳をしていては英文を読むスピードが上がらないし、そもそも多読で実現したいことは逐語訳をすることではなく英語を英語のまま理解できる読解力を身につけることである。それらを踏まえると、日本語に訳そうとせず、またひとつひとつの単語や細かな文法に囚われることなく、とにかく多くの英文に接することが求められる。しかしこれが難しい。英文に慣れないうちから訳さずに読もうとしても上手く行かないし、わからない単語があるとどうしても気になってしまう。

この第一のジレンマを解決するために最近流行っているアプローチが、ネイティブの子供が読むような物凄く簡単な本から読んでいけというものだ。英米のティーンネイジャー向けの児童書ですらまだ早く、絵本とか、幼児向けの挿絵付きの本とか、Graded Readers(GR)と呼ばれる、母語が英語ではない人向けに語彙や文法を制限した本とか、そういうものである。これはSSS(Start with Simple Stories)と呼ばれている。

ネットや書籍を見る限り、多読(SSS英語学習法)で大きな成果を出している方も多く、わたしも気にはなっていた。多読についての本を読んだこともある。しかし第一のジレンマを解決するためのアプローチが、実は第二のジレンマを生んでいる。それは「絵本レベルの書籍から始めて300万語や3,000万語に到達するには、物凄く大量の本を準備しなければならない」というものだ。そもそもお金も結構かかるのだが、お金だけでなく本の置き場所なども含めて非常に面倒だ。また、図書館等を利用するというアプローチもあるのだが、順番待ちで読みたいタイミングで借りれなかったり、適切な難易度の本を読めなかったり、わたしが住んでいる文京区図書館ではそもそも洋書の取り寄せはしてくれなかったりで、これがまた非常に面倒である。さらには英語の絵本を無料で読めるサイトなどもあるのだが、いざ使ってみるとリンクが切れたりしていて意外に面倒だった。

こうした第二のジレンマを前に躊躇していたのだが、まあよく考えたらわたしはこれまで和書(漫画を含む)やCD・DVDに対して信じられないほどのお金を費やしているわけで(概算するまでもなく一千万は優に超えている)、今さら数十万円の金を洋書に費やしたところでどうにかなるわけでもないだろうと思うようになった。それに洋書に金がかかるなら、和書を図書館で借りれば良いのだ(実はわたしは図書館をあまり使っていない)。

ということで、ちょっと前置きが長くなったが、これからは洋書もバシバシ購入して読んでいこうと思う。もちろん最初は3歳や4歳の子供が読むようなものになるが、最後はペーパーバックも普通に読めるようになると良いなあ。先は長いけど……。

さあ、どこまで続くかな。

この手の「ひたすら本を読む」ということはわたしには合っているのだが。