野澤亘伸『師弟 棋士たち魂の伝承』

師弟 棋士たち魂の伝承

師弟 棋士たち魂の伝承

将棋は徹底して個人競技なのであるが、実は「師弟」が存在する。もちろん棋士の中には、弟子を取る人も取らない人もいる。例えば羽生善治は弟子を取っていない。しかし現状の制度では、わたしの理解では誰かの弟子にならなければプロになることはできない(棋士を目指して奨励会に入るには、棋士の推薦が必要となり、その推薦者=師匠という位置づけになるため)。

そんなわけで、弟子を持たない棋士はいても、師匠を持たない棋士はいない。

そして対局において師匠と弟子がぶつかったら、そこはもちろん真剣勝負である。

そういう特殊な世界における師弟関係を取り上げ、掘り下げたのが本書である。

なんというか、泣くような話では全然ないのだが、無性に心を動かされる。