冨浦英一『アウトソーシングの国際経済学 グローバル貿易の変貌と日本企業のミクロ・データ分析』

「第58回日経・経済図書文化賞」と「第55回エコノミスト賞」をダブル受賞しているらしいが、いざ読むと実際かなり面白い着眼点の本だと思う。アウトソーシング自体が現在(本書が出版された10年前において)グローバル化しているが、グローバルアウトソーシングが、各国の経済統計や企業統計にどのような影響を及ぼしているか、また企業の生産性や雇用、技能、ビジネス習慣、研究開発などにどのような影響を及ぼしているか、さらには国際貿易理論にどのようなアップデートがあるかなどを論じている。

正直、アウトソーシングに関するもっとベタな実務レベルの本を探しており(しかし見つからないので藁をも掴む思いで)本書を手に取ったのだが、うん、やはりわたしの問題意識は本書では満たされなかったというのが結論ではある。しかし本書のタイトルからもそこには大して期待をしていなかったし、本書の問題ではない。個人的には「第6章 研究開発とアウトソーシングの国境」はかなり興味深かった。これは学術書なので仕方ないが、正直もっと掘り下げて色々と論じてほしいと思ったし、わたし自身もっと色々と語りたいというか何というか。

あー。

この辺もっと語りたいし、語ってもらいたい。語り合いたい。