『Hades』@Switch

元々Switchで発売されたインディーズゲームなのだが、かなり人気があるってんでSwitchやPS4・PS5でも発売されて現在大人気とのこと。

いわゆるローグライクアクションのダンジョンクローラーゲームというジャンルになるようだ。

ゲームに詳しくない方は「え、何だって?」となりそうだが、ここでは「ローグライク」という言葉の大方の意味を説明しておきたい。ローグライクというのは1980年代に発売された黎明期のコンピューターゲームである「ローグ」から来ている。ローグっぽいってことか。ローグというゲームの特徴は、ダンジョンに挑むたびにダンジョンがランダム生成されること、一度死んだらこれまでの経験値やアイテムが全て失われ、またゼロからダンジョンに挑まなければならないということ、ターン制RPGであることなどである。

ストイックだね。

死にゲー(死んで覚えるゲーム)と言われたりもするが、死にゲーの代表作であるフロム・ソフトウェアが出しているダークソウルやブラッドボーンとは違う気がする。ダークソウルやブラッドボーンは敵の攻撃パターンだけでなく、マップの形、どこで敵が出てくるかなども全部決まっており、それらを含めて「死んで覚える」ことでクリアに近づいていくゲームだ。一方、ローグライクは毎回ダンジョンの形が違うので、ダンジョンの形などを覚えても仕方ないのである。

運ゲーとも言う。

でも本質的には、逆説的なことを言うけれども運ゲーは運頼みのゲームではない。運の影響を最小化して勝率を上げていくという意味では、物凄くプレイヤースキルが問われたりする。トルネコや風来のシレンで、パンが出てくるかどうかは運でしかないけれども、経験者はパンが出てこなくても長く生き残れるよう、あまり長々と無駄に歩き回ったりはしない。

さて、本題に戻ると、Hadesは厳密なローグライクゲームではない(ややこしいが、ローグライクっぽいゲームのことをローグライトと呼ぶ)のだが、ランダム生成ダンジョンである点や、死んだらレベル1に戻ってしまう点ではローグライク的な要素のある2Dアクションゲームである。主人公は冥王ハデス(ハーデス)の息子であるザグレウスだ。昏い地下の世界はうんざりだし、自分の真の母親であるペルセポネが地上に去ってしまったこと(しかもそのことを主人公は最近まで知らされていなかった)を知り、自分も地上を目指す。地下の世界で鬱憤を溜めるザグレウスを不憫に思い、ゼウス・ポセイドン・アテネなどなどお馴染みのギリシャ神話の神々が色々と助けてくれる。真の母親ではなかったかもしれないが母親役として自分を育ててくれたニュクス、師匠のアキレウスなども自分をサポートしてくれる。一方、父親であるハデスはそれを認めず、妨害する――というストーリーだ。

地味なゲームではあるのだが、物凄い分量のテキストがあるようで、あらゆるキャラクターが、話しかけるたびに違うことを喋る。条件によっても違う。例えばザグレウスにとってゼウスとポセイドンは両方とも叔父に当たるのだが、ゼウスの加護を受けている場合、ポセイドンのセリフが変わったりする。持っている武器によってもセリフが変わる。これが面白い。

ここから若干余談めいてしまうが、人間関係が本当に奔放というかまさに人間じみていて、ギリシャ神話のことを学び直したくなってきたなー。

阿刀田高の『ギリシャ神話を知っていますか』は大学で初めて教養に触れたわたしのような人間にとって格好の入門書だったが、今はどうなんだろう。今も大学生協の本屋で平積みされているのだろうか。とりあえず久々にKindle版で購入したのと、トマス・ブルフィンチ『完訳 ギリシア・ローマ神話』上下巻もKindleで買ってみた。こういう毒にも薬にもならない読書は楽しい。

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