古橋秀之+別天荒人+堀越耕平『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』2巻

ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミア ILLEGALS- 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)

ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミア ILLEGALS- 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)

『僕のヒーローアカデミア』のスピンオフなんだが、これは凄い。

まず画力が超絶で、堀越耕平の絵柄をかなり再現しているうえ、オリジナリティがある。

そして画力以上に設定やストーリーが良い。わたしは本編を読んでいると、迷惑ばかりかけている主人公(デク)や周囲への気遣いゼロなライバル(爆轟)のキャラクター造形に非常にストレスを感じ、ヒーローとは何か、ヒーロー社会とは何かといったことをもやもやと考えてしまう。しかし本作にはそうした矛盾はない。人助けとは資格ではない。資格が必要だから資格を取るという発想ではなく、自分が必要だと思うことを陰ながらやるという偽悪的な設定。こちらの方が本編よりもスッキリ来るのである。

また「無個性」に対しての捉え方もサイコーだ。本編の主人公は、無個性であることでイジイジして没個性と化してしまい、しかしヒーローへの憧れをたまたまオールマイトに認められ、裏ワザ級の個性を譲渡してもらうのだ。一方、スピンオフである本作の主人公は、非常にしょぼい個性なのだが、その個性を使ってやれることをやろうとしている。また本編のオールマイトに相当するスピンオフの主人公の師匠役は、実は無個性だ。無個性だが、とにかく体を頑丈に鍛えて、個性を持った人間と渡り合っている。

正直、ヴィジランテの登場人物たちの方がかっこいいのである。

早くヴィジランテ3巻が出ないかなー。