『総理と呼ばないで』DVD-BOX

総理と呼ばないで DVD-BOX

総理と呼ばないで DVD-BOX

  • 発売日: 2010/10/06
  • メディア: DVD
無能で性格も悪く、家族からも部下からも全国民からも嫌われている総理が、ついに支持率1.8%とかになっちゃうわけだが、それでも明白な落ち度がないため野党は攻め手を欠くという膠着状態が続く。これ幸いと、総理は明白な落ち度を出さないようにということだけを目指して奔走する……というのがプロローグだろうか。要は、三谷幸喜お得意のシチュエーションドラマである。

与党の駄目っぷりとか、支持率1.8%なのに退陣のための攻め手を欠く野党の更なる駄目っぷりとか、明白な汚点を出さないよう奔走するけれども裏目に出て更に立場を悪くする首相の駄目っぷりとか、2020年現在の政界を見渡しても既視感満載で、思わず笑ってしまう。

けれど、よく考えたら今とテレビ放送当時では、捉え方がちょっと違うかもしれない。そもそも安倍内閣はめちゃくちゃ長期政権である。というか、今は、あんなにはてブで(よく知りもしないくせに)史上最低の首相だとギャーギャー言っている人が多いにも関わらず、支持率は40%を超えているのだ。しかしこれは歴史的には例外中の例外で、少なくともこの数十年間、そもそも日本で長期政権を築けたのは小泉と安倍ぐらいだ。それ以外は大抵1年から3年で倒れている。その上、政権末期は必ずレームダック(死に体)だった。当時の日本において、政権が倒れるとか、倒れる前に無様な足掻きをするというのは、「よくある光景」だったのだ。なので、個人的には当時「風刺が効いてるな」と思っていた。今からすると、1.8%で延命を図るなど、ただただ荒唐無稽な話としか思えないかもしれない。

なお、大ヒットとなった古畑任三郎の主演は田村正和なんだが、それと同じく、三谷幸喜と田村正和のコンビのドラマ。三谷幸喜は気に入った演者を何度も何度も使うのが好きで、田村正和もそうだったということなのだろう。というか、脇を固める準主役の筒井道隆も常連だし、劇団時代からの仲間の西村雅彦・小原雅人・近藤芳正も出てるし、よく考えたら鈴木保奈美と唐沢寿明も常連だ。凄いな。