ツジトモ『GIANT KILLING』44巻

GIANT KILLING(44) (モーニング KC)

GIANT KILLING(44) (モーニング KC)

こちらも(というのは前日の少女ファイトも同じだったのだが)展開が遅いなあ。試合を丁寧に描いているのは良いのだが、44巻もやってまだ1年目のシーズンも終わっていないという。1年間で終わるつもりなのだろうか。チームづくりは普通に考えて数年かかるわけで、せめて作中で数年間が経過するまでは描いてほしかったのだが。

日本橋ヨヲコ『少女ファイト』14巻

少女ファイト(14) (イブニングコミックス)

少女ファイト(14) (イブニングコミックス)

ちょっと迷走しているなあ。

ストーリーというより、魅せ方が迷走している。

理由は明白で、作者はこの作品に大変な思い入れをもって描いている。臆面もなく「私は私の作品が大好きで、作中の登場人物も一人残らず大好きなのだ!」と言えるところは作者の強みでもあるわけだが、現状、敵や端役もいきなり主役級の扱いで登場して、敵チームの登場人物の細かな性格や人間関係が描かれる。しかしそれが冗長さを生んでいる。読者が読みたいのはあくまでも主人公側の機微や人間関係であり、彼女たちの成長なのである。葛藤を乗り越え、一皮むけてほしいのだが、敵チームについてそれを求めていないのである。

主人公の先輩たち(2年生トリオ)に至っては、普通に考えて1年生よりも実力があって然るべきであるのに、とにかく影が薄い。もうちょっと活躍させてほしいのだが。

安堂維子里『バタフライ・ストレージ』1〜2巻

バタフライ・ストレージ(1)【電子限定特典ペーパー付き】 (RYU COMICS)

バタフライ・ストレージ(1)【電子限定特典ペーパー付き】 (RYU COMICS)

バタフライ・ストレージ(2)【電子限定特典ペーパー付き】 (RYU COMICS)

バタフライ・ストレージ(2)【電子限定特典ペーパー付き】 (RYU COMICS)

人が死ぬとその魂は「蝶」となって体から抜け出てくる。その蝶を然るべき時期と手順で国がしっかりと保管すると、ライブラリーで再生できて、会話などもできちゃったりする。しかし保管に失敗すると蝶(魂)は消滅する……。こういう設定だから「死局」と呼ばれるお役人が蝶をしっかりと保管するのは非常に重要なことなのだが、まあ重要なこととなると、それを逆手に取って悪さをするやつも必ず出てくるというのは夜の理である。現状(つまり1巻と2巻の段階では)理由は不明だが、死局が回収するはずの蝶を力づくで勝手に持ち去ってしまう輩が頻発しており、さてそうなると死局側も力づくで蝶の強奪を防ぐし取り返す、と、そういうSF×バイオレンスなストーリーである。

正直まだよくわからないところも多いのだが、今のところなかなか面白い。

あfろ『ゆるキャン△』1〜4巻

女子高生がゆるーくキャンプをするから、こういうタイトルになっています。

でもキャンプというのは本格的になると登山みたいなのと領域が近づいて、指が欠損するだの滑落して死ぬだの熊と遭遇するだのといったシビアな描写も増えてくる。そう考えると、これぐらいゆるい方が読んでいて安心できる。

加納梨衣『スターライトウーマン』2巻

スターライトウーマン : 2 (アクションコミックス)

スターライトウーマン : 2 (アクションコミックス)

昔1巻を読んで面白かったのだが、いかんせんマイナーな漫画なので2巻が発売したことを知ることもなく早幾年……何と『スローモーションをもう一度』を描いている加納梨衣の過去作であるとはビックリである。画風がぜんぜん違う。しかし本作のハチャメチャぶりも面白くて良いなあ。

加納梨衣『スローモーションをもう一度』1〜4巻

いわゆるスクールカーストの上位にいる主人公(高校2年生男子)は、実は「80年代文化が大好き」という秘密を持っていた。中森明菜、大瀧詠一、スケバン刑事を演じた斉藤由貴、アイドル文化を支えていたブロマイド(ブロマイド)やカセットテープ、ウォーターゲームと呼ばれる水中輪投げおもちゃ……。

わたしは1978年生まれで、80年代というよりは90年代文化で生きてきた人間なのだが、それでも「昔の文化」にレトロ趣味と一口でくくれない魅力があるのはわたしにもわかる。例えば、中森明菜をYouTubeで検索せよ。まさか19歳やそこらでDesireを歌っていたとは。何たる歌唱力! しかも巧いだけでなく、声には色気というか、名状しがたい情念のようなものが宿っている。上手ですらなく、ただ単にキーが高いだけの歌声を聞かされるアイドルとは、雲泥の差である。

他にも、松田優作は(まだ)本作にはほとんど登場していないが、わたしは飄々としたユーモアを織り交ぜた『探偵物語』と、『蘇える金狼』『野獣死すべし』が同じ俳優であることに心底驚く。『探偵物語』は松田優作の入門編であると同時に代表作であり、わたしもあの飄々とした生き様に憧れた一人だ。一方、『野獣死すべし』における松田優作は怪演とも言うべき鬼気迫るものである。

閑話休題。そんな80年代文化に憧れる主人公は、ふとしたきっかけで、同じクラスの女子がやはり80年代文化に傾倒していることを知り、休息に距離を縮めていく……というアウトライン。とにかく絵が抜群に上手く、80年代文化の魅力を十分に引き出しているのに、古臭くない。つまり洗練されているのである。

ラブコメ・ラブストーリー領域における現在進行中の漫画は『星野、目をつぶって。』一択だと思っていたが、本作も抜群に面白い。大推薦漫画である。

なお、全く気づかなかったが、『スターライトウーマン』を描いた方の新作である。

かねもりあやみ+久住昌之『サチのお寺ごはん』4巻

サチのお寺ごはん 4 (A.L.C. DX)

サチのお寺ごはん 4 (A.L.C. DX)

最近どんどん出版されている「料理漫画」ジャンルのひとつ。

何と精進料理である。

主人公は、近くのお寺で精進料理をごちそうになることで、会社やプライベートの問題に少しずつ折り合いをつけ、良い感じに生活を立て直していた……のだが、何とお付き合いしていた彼氏に振られるというか、そもそも相手に彼女がいたということで、さあどうしましょうという展開。これをきっかけに、精進料理を教えてくれる坊さんに惹かれていくという展開が待っているのだろうか。

浅井蓮次『バイオレンスアクション』2巻

バイオレンスアクション(2) (ビッグコミックススペシャル)

バイオレンスアクション(2) (ビッグコミックススペシャル)

バイト感覚で人殺しを請け負う女子高生が主人公。

人を殺す能力や感情は「主人公だから」と折り合いをつけられるかもしれないが、そもそもバイト感覚で人殺しをするには、バイト感覚で人殺しを斡旋する組織があるわけで、わからないことは色々ある。

ちょっと話が展開してきたので、3巻以降に期待。

板垣巴留『BEASTARS』1〜4巻

肉食獣と草食獣が共存する世界。擬人化された獣が同じ言語を話し、同じ世界に生きる。彼らは(肉食獣を含めて)肉を食べることはご法度とされ、もちろん肉食獣が草食獣を殺すことなど重罪。しかし肉食獣に、肉を食べたいという本能は残っている……という、なかなか深みのある世界観で物語は展開する。

舞台は、全寮制のチェリートン学園。高校2年生のハイイロオオカミ・レゴシが主人公である。レゴシは(肉食獣なのに)ナイーブな性格で、演劇部に所属しているのに一切役者をやらず、美術班の照明係という裏方仕事を進んで引き受けている。しかし優しい心を持っているのに必ずしも周囲と上手く馴染めず、「肉食獣のくせに何を考えているかわからない」と誤解されやすい性格でもある。そんな中、レゴシは草食獣の中でも小動物に分類されるドワーフ種のウサギのハルと出会う。レゴシはだんだんハルに惹かれていくが、ハルへの感情が恋なのか肉食獣としての本能(食欲)なのかがわからず悩む……まあそんな感じのアウトラインである。

レゴシだけでなく、ハル、「ビースター(チェリートン学園ナンバー1の称号)」を目指す演劇部のスターであるアカシカのルイ、レゴシと同じハイイロオオカミの雌であるジュノなど、魅力的かつ深みを持った複数のキャラクターの視点で物語が展開し、はっきり言ってめちゃくちゃ面白い。最近ブログ界隈で皆が押すため、かえって辟易して手を出すのを躊躇していたのだが、面白い作品に罪はないということですね。読まなきゃ損、そんな作品。

大今良時『不滅のあなたへ』1〜3巻

情報を収集して様々な対象に形を変える「球」としての存在。

主人公はこの不思議な「球」なのだが、命の存在を知り、言葉を知り、まるで生き物のように動き出す。

そして人間の姿を獲得し、人間のように動き出す。心は果たして獲得したのか、していないのか。

よくわからないんだが、心を揺さぶられる、そんな物語。作者は果たして、読者をどこに連れて行こうとしているのだろうか?

コトヤマ『だがしかし』8巻

だがしかし(8) (少年サンデーコミックス)

だがしかし(8) (少年サンデーコミックス)

ついにあの人が帰ってくる。

で、元通りの日常。

……ってわけでもないんだよね。表面的には元通りの日常なんだけど、ちょっとずつ変わっていく関係性。

どんなふうに話を進めていくのか、あるいは話を終わらせていくのか。

深読みしたいような、深読みしたくないような。所詮は「駄菓子屋の息子の主人公と駄菓子好きのヒロインによる駄菓子談義」だったわけだし、その底の浅さを愛していたわけでもあるから。

石塚真一『BLUE GIANT SUPREME』2巻

BLUE GIANT SUPREME(2) (ビッグコミックススペシャル)

BLUE GIANT SUPREME(2) (ビッグコミックススペシャル)

前作『BLUE GIANT』の最終巻があまりにも衝撃的であったこと、またその最終巻がまるで「なかったこと」のように続編『BLUE GIANT SUPREME』の1巻が始まったことがショックで、もう読みたくないと思った。正直そう思った人は多いだろう。Amazonでも非難轟々であった。

しかし買ってしまった、2巻を。

これが物語の力って奴なのだろうかね。

相変わらず面白いのがまた……。

3巻も買うんだろうなあ。

みやびあきの『なでしこドレミソラ』1〜2巻

なでしこドレミソラ 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

なでしこドレミソラ 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

なでしこドレミソラ 2巻 (まんがタイムKRコミックス)

なでしこドレミソラ 2巻 (まんがタイムKRコミックス)

高校生が部活動で音楽に目覚めるという青春漫画。一般的なロックやポップスのバンドではなく、和楽器でバンドを組むというところが新しいが、それ以外の設定はごくありふれたものである。しかし丁寧に描かれていて読み応えはある。面白い。

なお、タイトルの「ドレミソラ」は、和楽器ではファとシがなく、ドレミソラの五音がベースになっているかららしい。へー、初めて知った。

奥たまむし『明るい記憶喪失』1巻

明るい記憶喪失 1 (MFC キューンシリーズ)

明るい記憶喪失 1 (MFC キューンシリーズ)

いわゆる百合。

主人公(女)は、事故だか何だかで記憶喪失になってしまうのだが、慌てて駆けつけた恋人(女)に完全に一目惚れしてしまい、記憶はないのだが問題なく元鞘に収まってラブラブするという話。

はっきり言うと、都合が良すぎるというか。でもその「都合の良さ」を全力で楽しむための作品である。

個人的に、やっぱり百合というのはピンと来ないところがある。感情移入が難しいというかね。

ノッツ『初情事まであと1時間』1巻

初情事まであと1時間 1 (コミックフラッパー)

初情事まであと1時間 1 (コミックフラッパー)

初体験ではなく、初体験に入る直前のあれやこれやを描くというアプローチ。

一発ネタかと思いきや、色々なシチュエーションがあってけっこう面白い。

セリフも秀逸で、あーなるほど、勇者はそうやって最後のセックスをしたんですねとか思えてかなりおすすめ。