阿部共実『月曜日の友達』1巻

月曜日の友達(1) (ビッグコミックス)

月曜日の友達(1) (ビッグコミックス)

周囲が「思春期真っ盛り」な感じに傾く中、普通に子供っぽく遊びたいと思う、そんな中1女子が主人公。同じクラスには、小学生と遊ぶような、やはり子供っぽい少年もいて、二人は月曜日の夜に学校で会うようになる。といっても甘酸っぱさは皆無で、「中学生らしい」「普通」といったレッテルを避けるために、二人は深夜の学校に逃げ込んでいるのだ。

どことなく詩的ですらあり、絵本のようでもある。そしてこの中学1年生の1年間は特別であることが、示唆されている。この少年がいなくなるような、そんな示唆である。

続きがとにかく気になるのだが、急いで完結させてほしくもない、かといって長々と続ける作品でもないよねという。これは傑作になるんじゃないだろうか。

珈琲『しったかブリリア』1巻

しったかブリリア(1) (アフタヌーンコミックス)

しったかブリリア(1) (アフタヌーンコミックス)

知らないことについて「知ったかぶり(知ったか)」をすることで、大学デビューして、人気者として君臨している主人公。そもそも自分の地元すら東京と言っているとか、数ヶ国語をマスターしているという嘘をついて、その嘘に現実を近づけるために日々語学の勉強をしているとか、もうとにかく「知ったか」をし過ぎて他人の評価や理解と実像には、もう埋めがたいほどのギャップが存在している。そこに高校時代の自分を知る元カノが登場したり、雰囲気のある後輩の女の子が登場してきたりして、かなりどうでも良い心理戦が繰り広げられる……というアウトライン。

これは『保安官エヴァンスの嘘』に通ずる作品だな。

続きも購入決定。

売野機子『売野機子のハート・ビート』

売野機子のハート・ビート (フィールコミックスFCswing)

売野機子のハート・ビート (フィールコミックスFCswing)

音楽をモチーフとした短編集。

売野機子はレトロな少女漫画臭を前面に出したアプローチが多く、こういう「企画モノ」みたいなの、あまりなかった気がするなあ。でも読んでみると、手堅くまとめていて、普通にレベルが高かった。てか好み。他の作品も集めようかなー。

白井弓子『イワとニキの新婚旅行』

イワとニキの新婚旅行 (ボニータ・コミックス)

イワとニキの新婚旅行 (ボニータ・コミックス)

『天顕祭』『WOMBS』『ラフナス』といった骨太のSFやファンタジーを描いた作者による連作短編集。

神話をモチーフとしているのだが、一度宇宙人に侵略させているところがもうね、めっちゃツボ。よくある神話モノとは一味も二味も違う。

この人もっとビッグになってほしいんだけどなー。

まあマイナーな雑誌でも自分の好きなものを好きなタイミングで描かせてもらっているからこそ、この面白さなのかもしれないけどね。

椎名うみ『崖際のワルツ 椎名うみ作品集』

崖際のワルツ 椎名うみ作品集 (アフタヌーンコミックス)

崖際のワルツ 椎名うみ作品集 (アフタヌーンコミックス)

独特の感情を描いている漫画である。

少女漫画の系譜を思わせる柔らかな絵柄と思いきや、実際に提示された描写に対する違和感が凄い。

あくまでも自分が正しいと信じ込んでいる先生とか、悪意が一切ないだけに、余計に始末が悪いなと思ったり。

連作中の『青野くんに触りたいから死にたい』もそうなんだが、この人は、こういう独特の負の感情や負の存在を描くのが得意なんだろうな。

椎名うみ『青野くんに触りたいから死にたい』1〜2巻

青野くんに触りたいから死にたい(1) (アフタヌーンコミックス)

青野くんに触りたいから死にたい(1) (アフタヌーンコミックス)

青野くんに触りたいから死にたい(2) (アフタヌーンコミックス)

青野くんに触りたいから死にたい(2) (アフタヌーンコミックス)

初めて付き合った男の子が死んじゃうわけなんだが、幽霊になって云々という漫画。この手の漫画はスラップスティック調のラブコメか日常系人間ドラマになるんだろうなと思ったら、当初は確かにそうだったんだけど、読み進めるうちに不穏な空気が随所に出て来るようになった。いわゆるオカルトというか、幽霊になった男の子が自分自身を制御できないというか、自分の意識の範囲外のところでどうも不穏な言動をしちゃっているという。

こういうの、意外になかったな。

オカルトやホラーの場合だと、一般に、死者は徹底して「他者」や「悪」として描かれている。だから日常系人間ドラマの形を取りながら、身近な死者(という表現も変だが、まあとりあえず)が否応なく、そして徐々に理解できない存在になっていくという構造はあまり見ない気がする。

園田ゆり『ライオン 園田ゆり短編集』

ライオン 園田ゆり短編集

ライオン 園田ゆり短編集

『あしあと探偵』はもっと飄々とした絵柄なんだが、こっちは、浅野いにおを彷彿とさせる、より正統派のサブカル漫画って感じ。

どっちもサブカル臭はあるんだけどね。

個人的には、表題作よりも、高校の放送部を舞台とした連作短編の方が気に入った。文化系部活やマイナー競技って個人的にけっこう好きなんだよね。

園田ゆり『あしあと探偵』全2巻

「人捜し」専門の探偵事務所で働くことになった、ごく平凡なサラリーマンだった主人公が、奇人変人揃いの探偵事務所で、探偵として様々な事件に遭遇する……というアウトライン。2巻でさらっと終わっているが、けっこう面白かった。もう少し続けても良かった気がするんだよなあ。打ち切りかな。

小林銅蟲『めしにしましょう』1〜4巻

めしにしましょう(1) (イブニングコミックス)

めしにしましょう(1) (イブニングコミックス)

めしにしましょう(3) (イブニングコミックス)

めしにしましょう(3) (イブニングコミックス)

めしにしましょう(4) (イブニングコミックス)

めしにしましょう(4) (イブニングコミックス)

漫画家のアシスタントが仕事の空き時間に(ややエキセントリックな)料理をつくるという漫画。

最近流行ってますが、それも頷ける面白さ。

小林銅蟲はおっさんで本作の主人公は女性だが、ほぼ実話、というか実体験をベースに描かれている。普通に数十万円かけて中国の高級料理を作ってみたり、風呂場で低温調理をしてみたり、なかなか凄い。個人的に気になるのが、鶏がらを強引に骨ごとミキサーにかけてシェイクしてから骨のクズだけ濾過して取り除き、旨味を「強引に」取り込んでしまうという荒業。一瞬このミキサーをポチりそうになったけど、使いこなすテクないよねと、すんでのところで思いとどまった。

なお作者ははてなブログを活用中。

negineesan.hatenablog.com

木村紺『巨娘』3〜5巻

『神戸在住』や『からん』といった知る人ぞ知る傑作漫画を出している木村紺の作品。

こっちは下ネタもちょいちょい入った、肩の抜けた感じ。

本作(巨娘)は、まあ色々あったが作者的にも何とか描き切ったんじゃないかなーという気がする。

でも基本的には木村紺という漫画家は不遇の人という感じがあるな。『からん』と『マイボーイ』はどう考えても打ち切りだから。

個人的には、やはり『神戸在住』の続編もしくは同じ世界観での話を描いてほしいなと思うんだけどね。作者のプライド的にそれを許さないのかなー。

蘇募ロウ『なんでここに先生が!?』3巻

なんでここに先生が!?(3) (ヤングマガジンコミックス)

なんでここに先生が!?(3) (ヤングマガジンコミックス)

1巻がピークだったなあ。

3巻にもなると、タイトルと実態が合ってない気がする。

1巻は「なんでここに先生が!?」というタイトルに見合ったシチュエーションコメディ+エロコメディで、その組み合わせというか掛け合わせが面白かったんだよね。ベタやなー、でもそういうシチュエーションがあったら面白いよね、という。でも正直、3巻になると単なるエロコメになっている。

本作が気になる人は、1巻ずつ買ってみるのが良いと思う。

信濃川日出雄『山と食欲と私』1〜6巻

山と食欲と私 6巻 (バンチコミックス)

山と食欲と私 6巻 (バンチコミックス)

この人は作品ごとに作風・画風をかなり変えてきている器用な作家なのだが、本作も見事に変えてきた。OLの回想録を読んでいるような感じで、凄く手触り感がある。

安定株。飯も美味そう。

石田スイ『東京喰種トーキョーグール:re』15巻

東京喰種トーキョーグール:re 15 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

東京喰種トーキョーグール:re 15 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

14巻の感想を書いた時、15巻で完結かなと思ったのだが、もう少し続きそうだ。

もう誰が死んでも驚かないし、誰が生き返っても驚かない……そんな世界観で、どう決着つけるかな。

カルロ・ゼン+東條チカ『幼女戦記』6〜7巻

幼女戦記(6) (角川コミックス・エース)

幼女戦記(6) (角川コミックス・エース)

幼女戦記(7) (角川コミックス・エース)

幼女戦記(7) (角川コミックス・エース)

先日読んだ『保安官エヴァンスの嘘』を読んで、「登場人物の思惑のすれ違いみたいなものにフィーチャーする笑い、最近どこかで読んだことあるなー」と思ったら、この幼女戦記だった。アニメ化で大ブレイクしたが、元々は小説で、それをコミカライズして「神コミカライズ」と言われている。原作も神なら、漫画も神、アニメも神と、この作品は作り手に恵まれている。

……とか言っているうちに、もう8巻が出てた。9巻もか。

遅いよりは良いか。

タナカカツキ『マンガ サ道 〜マンガで読むサウナ道〜』1巻

マンガ サ道?マンガで読むサウナ道?(1) (モーニングコミックス)

マンガ サ道?マンガで読むサウナ道?(1) (モーニングコミックス)

作者は、日本で二人目だとかいう協会公認のサウナ大使の肩書を持つほどのサウナフリークである。だから、サウナの魅力が何なのか、この漫画を読むと凄く伝わってくる。わたしが理解したのは、いわゆる温冷浴を「温浴と冷浴を繰り返せば良いんだろう」という考えは、ちょっと違うということだ。温浴と冷浴の2セットではなく、温浴(サウナや熱めの風呂)と冷浴(水風呂)と外気浴(休憩)の3セット、これが重要らしいということである。よし、早速実践してみよう。

余談

極私的にサウナや銭湯に対する興味が物凄く盛り上がっているので、先日読んだムック本の『saunner(サウナー)』や『サウナの教科書』に載っていたおすすめサウナに、本書のおすすめその他を加え、備忘までに家の近くのサウナ&銭湯のリストを作っておく。

www.timesspa-resta.jp
www.laqua.jp
thermae-yu.jp
www.jexer.jp
sauna-oriental.com
www.rosco.co.jp
www.sakura-2005.com
www.edoyu.com
www.edoyu.com
www.ooizumi.co.jp
www.oasissauna.jp
www.nagomino-yu.com